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2006年4月 4日 (火)

再発見されたPaul Himmelの写真集を入手

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個人的にアートとしてのファッション写真をテーマにしている。ただし、洋服が写っているだけのものには興味がない。ドキュメントの生き生きした感じがファッションに取り込まれているようなイメージが好きなのだ。関連する写真集はだいたいコレクションしている。

今回入手したのは、ポール・ヒメル(Paul Himmel)の写真集。実は彼はハーパース・バザーで活躍した女性写真家リリアン・バスマンの夫なのだ。バスマンの資料を調べているときに写真集の存在を知った。本のアートディレクションがバスマン、紹介文を書いているのはファッション写真に詳しい写真史家マーティン・ハリソンだった。伝説のアレクセイ・ブロドビッチのクラスに参加し、"教え子の中で、私の意味する動きを一番理解している。"と評価されたらしい。ブロドビッチが認めた写真を見ないわけにはいかないのですぐに購入を決定した。アマゾンで調べたら、ASSOULINE、2000年刊行で既に絶版だった。しかたなく、知り合いの海外業者に頼んで中古本を取り寄せた。本自体の価格は安いものの、航空便の送料が高いので、コストは1万円弱くらいだった。

予想どうりに彼の写真は非常に魅力的だ。生き生きと動きのあるモノクロ写真はいまみても斬新、もしかしたらバスマンが彼に影響を受けていたのではないかと思えてきた。サーカス、ヌード、シティー、ボクサーなどのテーマで撮影しているが、特に興味深いのがバレーのシリーズだ。これらはブロドビッチが撮影した"バレー"と重なって見えてくる。写真集表紙はグランド・セントラル駅でジュニア・バザール用の仕事に先んじて撮影されたもの。ラッシュアワーのコンコースの模様がぶれた映像で表現されている。

彼のキャリアがユニークだ。学校の先生だったのが、趣味の写真が忘れられず写真家に転身したそうだ。幼馴染で、当時ハーパースバザーのアートディレクターだったバスマンの影響だろう。1947年から1969年まで、ヴォーグとハーパース・バザーで活躍し、その後、写真への興味を失い、なんと精神療法医へと転じているのだ。

彼が写真をやめたのが1969年。当時は写真がアートなんて多くの人が思っていなかった。ましてファッション写真は過小評価されていた。彼の表現する舞台が整っていなかったのだろう。オークション記録を調べていたら偶然、2006年2月クリスティーズのオークションで1951年作のヌード作品の出品を発見した。約60万円で落札されていた。162.5 x 61 cmという巨大サイズ、抽象的イメージからして現代アート作品そのものだ。彼の時代感覚は30年早すぎたのだと思う。

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