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2006年7月26日 (水)

夏休みの営業・ワークショップ開催について

マイケル・デウィック写真展が終了し、作品の注文などの事務手続き、残務整理がやっと一通り終了した。
お蔭様で、非常に多くの人が作品を見に来てくれた。過去のデータはないのだが、まちがいなくギャラリーオープン以来最大の人出だったと思う。通常、開催期間が約1月半と長いので中だるみがあるのだが、今回は人の流れが全く止まらなかった。それどころか日増しに増加していった。梅雨時で、天気が悪かったことを考えると驚異的だ!個展によっては人が全く来ないことも珍しくないのだ。
海外での売り上げに比べると見劣りするが、作品も予想以上に売れたし、用意した写真集も早々に完売してしまった。もらったメールの雰囲気から判断するにマイケルもある程度満足しているようだ。これを機会にマイケルの日本での知名度が増して次回展につながることを願いたい。

写真展は秋に京都に巡回するが、ギャラリーでは8月12日(土)までマイケル・デウィックの一部作品を常設展として展示している。写真集表紙イメージなどの代表作はないが、見逃した人は"ザ・サーフィング・ライフ"の雰囲気だけでも楽しんでいただきたい。各種絶版写真集もギャラリー内で展示している。
夏休み期間なので営業時間が普段と違うのでご注意下さい。営業時間は午後2時~6時まで。休廊日は日曜、月曜です。

8月6日(日)にワークショップの新たな試みを行うことにした。
いままで、アート写真に取り組みたいプロ、アマチュア相手に作品のポートフォリオ制作方法をアドバイスしてきた。しかし、自分が興味があるテーマを絞り込んでいくのは容易ではない。多くの人が問題意識は持っているものの、作品がなかなか完成しないと悩んでいるのが現状ではないだろうか。ファイン・アート・フォトグラファー講座では基本的な考え方を説明したが、その後、実際に作品を完成させる人は多くない。作家が増えないことはギャラリーにとって大きな問題なのだ。そこで、この講座をフォローアップするような試みのワークショップを開催して、参加者のその後の展開を再評価し、新たなアドバイスを行うことが必要との考えにいたった。
対象は、過去にファイン・アート・フォトグラファー講座に参加した人。(個人、グループ)参加条件は現在も作品制作を行っているが、方向性がいまひとつ明快でない人、テーマの候補はあるのだが壁にぶち当たって展開が見えない人などだ。内容は持参してもらう作品のアドバイスと作家としての考え方の再確認が中心になる。
詳しくは以下をご参照ください。

http://www.artphoto-site.com/seminar.html

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2006年7月10日 (月)

セレブがコレクションするアート写真

米国でなんでアート写真が売れているかというと、案外セレブたちの行動が一般コレクターに影響をあたえているからかもしれない。高額な現代アートはごく一部の成功者しか購入できない。しかし写真の場合、ギャラリーの店頭で売られている作品なら一般の人でもセレブ同様に購入可能なのだ。ちなみに、現在、写真展を開催しているマイケル・デウィックは欧米ですごい勢いで作品が売れている。おかげさまで日本でも順調に売れ始めている。素敵な写真集の刊行、ササビーズ、パリフォトでの写真展開催、ニューヨーク近代美術館がポートフォリオ購入を検討していることなどが人気の大きな背景だが、どうもその理由のひとつには有名人がマイケル作品をコレクションしていることがあるようなのだ。
ラルフ・ローレンはマイケルの親友だそうで作品も多数コレクションしている。彼のクラシックカー・コレクションはマイケルの作品の中に登場している。オペラ歌手のプラシッド・ドミンゴも最近複数枚の作品を購入したそうだ。ドミンゴとモントークのサーフィンのイメージはあまり結びつかないが、本人が好きなのだろう。

Blog_012アート界の最近のホットニュースは、グスタフ・クリムトの代表作"アデーレ・ブロッホバウアーの肖像Ⅰ"(左イメージ)が絵画の史上最高額の1億3500万ドル(約156億円)で所有者からニューヨークの美術館に売却されたことだろう。これを購入したのは美術館の創設者で、化粧品のエスティローダーを経営する ロナルド・ローダーだ。実はほぼ同時期に彼はマイケルの作品を複数枚コレクションに入れているそうだ。
企業経営者では、スターバックス会長のハワード・シュルツもマイケルの写真が大好きで多数コレクションしている。

外国人は新たなコレクションをリビングに飾りパーティーなどで披露する場合が多い。 ホストのアート・コレクションはパーティーの中心話題になる。またリビング雑誌にもよく紹介される。セレブの部屋のアートのうわさは瞬く間に社交界に広がるのだろう。自分の知っているセレブがコレクションしていることがきっかけのひとつになってマイケルの写真を購入する一般の人もいるのだろう。

現在の写真展は7月15日(土)までだ。
外国のセレブも愛でるマイケル・デウィックの作品をぜひご鑑賞いただきたい。
日本のコレクターに幸運なのは、海外で売れて価格が上昇傾向なのが16X20インチ以上の大判サイズだということだ。日本の部屋に飾りやすい小さめの11X14インチ作品のほとんどはまだ一番安い価格帯だ。
写真展情報

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2006年7月 8日 (土)

最近読んだ本
"芸術起業論"村上隆

"芸術起業論"村上隆
幻冬舎 2006年刊

Blog_011

2001年作の"NIRVANA"が6月のササビーズオークションで約113万6千ドル(約1億3千万円)で落札され、"100万ドル作家"の仲間入りした村上隆。"すべてのアーティストは起業家である"という刺激的なサブタイトルがつけられた彼の著書を早速購入して2日ほどで読破した。本人の顔のアップがカヴァーに使われている強烈な印象の本だ。

村上隆には以前から注目していた。彼がディレクションし、2005年にNYジャパン・ソサエティーで開催された"リトルボーイ"展のぶ厚いカタログも購入した。日本のアート史を的確に分析して、自らの作品の過去とのつながりを明らかにし、いまの自身のポジションを論理付けして1冊の本にまとめている。並外れた頭脳の明晰さ、バイタリティー、行動力にはただ圧倒されるのみだ。
村上隆は野球でいうとメジャーリーグのレギュラーでオールスターにも出場経験ありという位のすごいレベルのアーティストなのだ。彼の高い評価についてはあらゆるところで論評されているので特にここではふれない。

写真家の場合、商業写真があるのでアートは仕事と考えていない人が多い。現代アート作家は作品を販売するしかないので取り組み方がはるかに真剣なのだ。しかし、村上隆によるとそれでも日本人作家はまだ甘いようだ。本書で彼が主張しているのは大金持ちが顧客の現代アートにおける欧米のスタンダードだ。アートで食べていける方法を自らの失敗、成功体験を織り交ぜて解説している。

最近、自分が愛した作品でないと、他人も愛してくれない、という意味のことをある写真家が言っていた。まさにその通りなのだが、多くの場合その意味が誤解されている。自分が良いと思っているから、他人もそれを認めるべきだと主張する人が多いのだ。これはエゴそのものだ。一般的に無名の人の自己満足にだれも関心などない。村上が主張しているのは、自分が愛している作品なら、コンセプトを明確化し、理論武装して、スーパーフラット"のようなキャッチなコピーをつけて、見る人にそのよさを伝える努力が必要だということだ。そしてそれには美術史の研究や精神修行が不可欠ということなのだ。有名になりさえすれば、見る人が作品を理解しようと努力してくれる。アート写真は現代アートと一部と考えられている。写真で作家を目指す人にも参考になる点が多い本だと思う。
写真分野の人はどうも感性重視の人が多い。(それも重要だが)それでは下手すると趣味の写真に陥ってしまう。
村上隆を見習って自作や、コンセプトを熱く語るタイプの人が出てきて欲しい。意識が高い人には創作のノウハウやヒントが詰まった宝石箱のような本だ。

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