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2007年1月28日 (日)

ハービー・山口「それぞれの瞬間」トークショー

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(C)Herbie Yamaguchi

先日コニカ・ミノルタプラザ(新宿)で開催されたハービー・山口のトークショーに行ってきた。会場は満席、中に入れない人も多数いた。参加者は圧倒的に若い人が多い。後で聞いたら期間中の総来館者数はなんと1万人を越えたそうだ。

ハービー・山口は囁くようにマイペースで淡々と話し続ける。彼はDJ経験もあるし、テレビのナビゲーターも行っているので話術は巧みだ。ユーモアを交えたトークで直ぐに聴衆のこころを掴んでしまう。力が抜けた自然な話し方が一番難しいのだ。また、写真を見せるときに流す音楽セレクションが効果的。有名ミュージシャンの曲が使われているので、音楽への興味から彼の写真世界に入ってくる人もいるのだろう。
話す内容は一貫している。人のことを妬んではいけない、みんなが幸せな気持ちになってくれるような写真を撮りたい、と語る。ややベタな内容だが実は彼の主張はアートの本質を言い当てている。現代人はみんな忙しくて自分のことで精一杯だ、他人のことを思いやる余裕などない。 そんな思い込みの中で生きることが悩みや苦しみの原因となる。アートは自分を見失っている現代人が自分自身を取り戻すきっかけを作ってくれるのだ。 彼は創作活動を続けながら、長い時間をかけて雑誌、本、トークショーなどで繰り返し繰り返し自分の世界観を語り続けている。ハービー・山口の考えに共感した人は彼のやさしい視点を持った写真を見ることで癒される。たぶん若者には写真から音楽が聞こえてくるのだろう。

若者に人気のあるのは素晴らしいことだが、商業ギャラリーにとっては悩ましい点がある。通常若い人はお金に余裕がないので、ポストカードや写真集よりも高価なオリジナル・プリントにはなかなか手がでないのだ。中高年の人には若い人に人気のあることでやや抵抗感を持つ人もいるかもしれない。しかし、ハービー山口の訴えているのは普遍的なテーマだ。2月1日からいよいよ写真展「The Big Love」がはじまる。ギャラリーの役割は、幅広い年齢層のお客様にハービー・山口の世界を伝えることだと考えている。

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2007年1月18日 (木)

Teach Your Children 横木安良夫写真展・イン・名古屋、19日スタート

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昨日、日帰りで横木安良夫写真展準備の為に名古屋へ行ってきた。本当は19日の初日にも会場にいたかったのだが、どうしてもスケジュールが合わなかった。

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今回もギャラリー左側の3つの壁面全体に様々なサイズのデジタルプリントを直接貼り付ける手法を取り入れた。昨年末のマイケル・デウィック展の撤収のときに半分くらい展示を終えていた。今回は楽勝かと考えていたが壁面が思いのほか長く、最終調整に予想外に時間がかかってしまった。
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渋谷パルコでの展示同様に、ヴィンテージ・プリント、モダン・プリントを額装して一緒に展示している。

ちょうど展示が終了したときに、ギャラリーが広尾にあったときにたいへんお世話になったデザイナーのW氏が立ち寄ってくれた。当時、ギャラリーで取り扱っていた新人作家の写真をポスターに起用してくれた恩人だ。なんと10年ぶりの再会になる。彼は自分の写真の興味は90年代で止まっていると語っていた。つまり、90年代後半からの不況の影響で、レベルの高いアート写真が名古屋ではまったく紹介されなくなった、ということらしい。 新しいアート写真ギャラリーのオープンを非常に喜んでくれた。たぶん同じように考えている名古屋のお客さんは多いのではないかと感じた。ギャラリーが良い写真を紹介し続ければ、W氏をはじめ多くの人が再びアート写真に興味を持つようになると思った。

2月10日と11日には、東京と京都で行い評判だった、横木安良夫氏のデジタル・プリント・ワークショップとトーク・イベントを開催する。同じ内容を2日間行うので、デジタル写真プリントのプロのテクニックに興味を持っている人は都合の良い日にぜひ参加して欲しい。会費は2800円。作業を行うパソコン画面をプロジェクターでスクリーンに映し出すとともに、エプソンPX5500・プリンターを使用して実演も行う予定。その後、横木氏による、写真集、アート写真、キャリアなどに関してのフリートークが行われる。なお10日(土)はその後に作家との簡単な懇親会も予定している。私もお手伝いとして参加予定です。
詳しくは以下をご覧ください。
http://www.g-orchard.jp/orchard/info/work_ex02.html

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2007年1月 4日 (木)

トミオ・セイケ氏との会話

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Tomio Seike 「Glynde Forge」

年末にイギリスから帰国した写真家トミオ・セイケ氏がギャラリーに遊びに来てくれた。彼は日本で数少ない、欧米の主要ギャラリーと契約しているアート写真作家だ。彼との会話はアート写真の先進国である欧米事情を知る上でいつも非常に参考になる。

今回特に興味深かったのは、写真デジタル化の急速な波についての話題だった。数年前は、あと5年後くらいにはすべてがデジタルになる・・・・という会話が一般的だった。しかし、2006年には多くのメーカーが銀塩カメラ製造から撤退して変化の波が大きく加速化した。もし銀塩カメラ製造が完全に中止されたら大手メーカーによるフィルム生産も中止されるのではないか、という話が日本同様、欧州でも言われているらしい。人によっては2007年に起きても不思議ではないという意見もあるとのことだ。そういえば国内でコダクロームフィルムの販売が終了されるというニュースもそんな将来を予見しているのかもしれない。
実は私もデジタル化の波が加速度的になってきた話を最近よく聞くようになっていた。あるDPE店を経営されている人が、2006年に入ってからの銀塩からデジタルへのシフトが急速になったと話していたのを思い出した。周りを見渡しても、私の年老いた母でさえ、デジカメを使用し、自分でプリンターで写真をプリントアウトしている。また、昔の銀塩カメラで撮影しようと思ったが、水銀電池が売ってなくて使えなかった、というようなこともよく聞く。多くの人が、レコードからCDへの瞬く間のシフトを引き合いにだすが、銀塩写真も2007年が大きな転換点になるのかもしれない。
「フィルムで撮影すれば、デジタル、銀塩のどちらでも対応できる。デジタル・プリントにも関心を持っているが、作家として私のいまやるべきことは、できるだけ多くフィルムで作品を残しておくことかもしれない」、とセイケ氏が最後につぶやいたことが印象的だった。
フィルムに作品が残っていればデジタル・プリント制作に取り組むことは今後いつでもできる、ということなのだろう。

今回、セイケ氏から10月にロンドンの老舗ギャラリーのハミルトンで発表された新作を収録した素敵な写真集「Glynde Forge」を頂戴した。掲載イメージはグレーに見えるが、実物は濃い緑色をしている。タイトルはエンボス加工され浮き出ている。これは、英国イースト・エセックスのグラインデという場所の伝統的な鍛冶屋をテーマに僅か6ヶ月で撮影された新シリーズだ。写真展は2007年3月に、芝浦のPGIで開催される。 限定750部の写真集は会場で販売されると思う。

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