« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »

2007年8月11日 (土)

入り口は大好きな1冊の写真集から
果てしなくディープなアート写真の世界

Blog

職業柄、年齢、性別、職業、国籍などが様々な数多くの写真集コレクターを知っている。最近、彼らのコレクションには経験年数でいくつかのステージ(段階)があることに気付いた。まあそんな厳密に分類できることでなく、傾向と言った方が適切かもしれない。
第1ステージは、分野にとらわれずに単純に好きと感じる本を集めまくる段階。自分の本当の好みがわかるまでのステップで、そのためには数多くの写真集を所有しなければならないのだ。またこの時期を経て、写真の良い、悪いの見方が次第にわかってくる。
自分の好きな系列の作家がわかると、第2ステージだ。今度は作家、分野を絞り込んで集めるのだ。この段階だと、既に絶版になったレアブックスの多少高価なものでも買い集める。人によってはオリジナル・プリントにも興味を持ち始める。 この時期はかなり長い間続く。しだいにかなり膨大なコレクションが出来上がってくる。そうなると誰でもやがて物理的な収納場所の問題に直面するようになるのだ。
第3ステージでは、なんと本当に好きな本以外は思い切って整理してしまうことになる。このステージに達した人はだいたい中年以上になっている場合が多いので、残りの人生を考えての選択なのかもしれない。
しかし、これらのステージと年齢とはあまり関係ない。何歳のときに写真集の世界に引き込まれたかによるのだ。20歳代で、既に第2ステージの人もいる。若い時は好きなモノだけにお金を使うことができるのだ。
またある元建築家の人は、リタイヤされた後に写真集を集め始めた。ライカなどに凝った経験があり、写真の知識をある程度持っていたので瞬く間に写真集コレクションに魅了された。ウォーカー・エバンスの写真の素晴らしさを理解して、またブロドヴィッチ系列の写真家も愛でられている。建築家だったので、ベッヒャーなどの写真のこともずいぶん昔から知っていたそうだ。既に持っていた断片的な写真の知識が、写真集のコレクションを通じて一気に深まった感じだ。彼は早くも第1ステージを脱しつつある。

写真集は一般人でも手軽に取り組める数少ないアート・コレクションの分野なのだ。それらを通して、アート写真の歴史や広がりを知ることができる。写真集なら歴史上の名品が所有可能なことも重要だ。最近、価格は上昇したものの、まだ普通のビジネスマンの予算範囲なのだ。自分が価値あるものを実際に持つことで本当の興味が湧いてくる。他分野のアートではありえない。そして写真集コレクションにはまった人は次のステップとしてオリジナル・プリントに興味を持つようになる。
入り口は1冊の好きな写真集でも、アート写真の世界の奥行きは非常に深く、ライフワーク的な趣味になりうる。好きなことがあって、欲しいものがあると年齢に関係なく人間は元気でいられるのだ。

9月に名古屋のオーチャード・ギャラリー(アートフォトサイト名古屋)で「レア・フォトブック・コレクション」を行います。これは、中部地方のお客様の写真集に対する反応を見るための実験的な試みです。約30冊くらいの絶版写真集をギャラリー内で展示販売(1部展示のみ)します。ご興味のある方はぜひおいでください。人気が高いようなら、レア・フォトブックスの定常的な扱いも検討したいと考えています。
詳しい開催情報は近日中に以下のHPで公開予定。
http://www.g-orchard.jp/index.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »