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2008年1月29日 (火)

「フラワー・パワー」展が終わる
難しいグループ展の営業

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「フラワー・パワー」展名古屋展示風景
写真展詳細はこちらをご覧ください

年をまたいで開催した「フラワー・パワー」の東京展が終了した。2月2日(土)から名古屋に巡回する。来廊者は年末にかけては少なめだったが、新年からは大幅に増えた。なんと最終日の来客数が一番多く終日ギャラリー内は混雑していた。
新聞、情報誌などの紙メディアのアート・ページでは一人の作家による個展紹介が中心、グループ展はなかなか取り上げてくれない。気合を入れたグループ展を行う美術館と違い、ギャラリーのグループ展は在庫品を展示するコレクション展や、テーマの異なる複数個人が開催費用を割るために行うのが一般的。マスコミはあまり紹介するに値しないと最初から考えているらしい。今回も同様で、写真展が紹介された多くはウェブ関連メディアだった。
ほとんどの人はウェブサイトの情報をたよりに来廊してくれたのだろう。マスメディアにあまり紹介されないで多くの人が見に来てくれるなど、ネットのない時代には考えられなかった。90年代前半は写真展案内状が情報提供の中心だった。ギャラリーの営業は、案内状の束を持って、色々なお店、洋書店、カフェ、同業ギャラリーを回ることだった。またどのギャラリーも顧客リストを充実させるのに死に物狂いだった記憶がある。いま思い返すと信じられないが、写真展開催ごとに膨大な数を送付していた。

写真展の売り上げは残念ながら予想以下だった。外人作家中心で、販売価格20万円以上の作品が多かったことが影響しているのだろう。今回は2008年に開催予定の写真展、4月の斎門富士男、6月のテリ・ワイフェンバッハ、秋のマイケル・デウィックのプロローグ的な意味合いがあった。これら作家に対しての一般客の率直な印象、感想を色々聞くことができたのは大きな収穫だった。企画側の持つ作家のイメージ像と現実はかなり違うこともある、これらの情報は個展開催時に生かしたいと思う。

次回展は2月1日から、ハービー・山口写真展「あの美しかった冬の光」(タイムレス・イン・ルクセンブルグ・時の止まった国)を開催します。モノクロ作品約30点を展示、写真集"タイムレス・イン・ルクセンブルグ"のデッドストックをオリジナル・プリント付きで限定数販売することを計画しております。

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2008年1月22日 (火)

アート写真営業の実際・イン・ニューヨーク
日本人写真家の拠り所は?

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以前ファインアートフォトグラファー講座を受講してくれた、現在ニューヨーク在住の写真家M氏が一時帰国してギャラリーに遊びに来てくれた。高い技術力、作品へのこだわり、斬新なアイデアを持っていたので、その後もメール中心に作家のキャリア展開について色々とアドバイスをしていた。彼は講座内容を参考にして、ニューヨークでギャラリーへの営業活動を実践した。海外進出を目指す人には参考になるのでその経緯を簡単に紹介しておこう。

まずギャラリーの取扱作家の傾向と自作との相性を徹底的に検証。彼はアート業界の知識が少なかったのでかなり時間がかかったようだ。リストアップされた先には片っ端からメールを送る。50件くらい送って返答は10件ほど。 返事の内容は丁寧に書かれた断りだった。アポイントがほとんど取れないので、今度は作品をCDにコピーして送る。半透明の封筒を利用したり目立つ工夫をするものの効果なし。また時間があればポートフォリオやCDを持って直接ギャラリーに営業。しかし受付では資料の受け取りもほとんど拒否され、ギャラリストに会うことはできなかったそうだ。現在の米国では飛び込みで作品を見てもらうのはほとんど不可能なのだ。
この時点までに作品を掲載した簡単なウェブサイトを制作。最初に一部作品を見せて、返事が来たところには残りを見せる手法を行う。そうすると、作品を見たいというギャラリーが数件出てきたとのこと。

どうやらギャラリー営業がウェブサイト上の作品ポートフォリオからはじまる傾向は以前よりも徹底してきたようだ。これは第1審査のようなもので、世界中のポートフォリオが集中するニューヨークでは、最初から全ての作品をみるのは不可能なのだろう。またウェブサイトは、決して凝った作りのものである必要はなく、作品が見やすいシンプルなものの方が良いらしい。
M氏は諦めずに営業活動を続けたのでその後中堅ギャラリーで作品を取り扱ってもらうことに成功している。
彼の成功は、戦略を立て、諦めることなく営業活動を継続したことにあると思う。ウェブサイトはきっかけにはなるが、その後のフォローアップの営業も抜かりなく行ったのが良かったのだろう。ギャラリーのインタビューには、作品テーマ、自分のキャリアなどがきちんと説明できるように周到に準備している。また大きな作品を持参して相手に関心を持ってもらう努力も怠っていない。この辺のタフさと気配りはさすがにニューヨークの広告界で鍛えられているだけのことはある。またその背景には自分の作品を必ず評価する人がどこかにいるはずだ、という信念があったからだろう。
幸運なことに、彼の作品はその後パリ、ロンドン、マイアミのアートフェアーにも展示されることになる。評価が厳しい外人コレクターたち(特にロンドン)にもなかなか好評だったそうだ。

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アメリカには伝統的なアート写真や現代アートの歴史があり、写真作品はその流れのなかで評価される。イメージ重視の商業写真とは全く別の世界と考えているコレクターも多く、ギャラリストは広告写真家の作品取り扱いには非常に慎重なのだ。
一方、戦後日本のアート界は、ファイン・アートと商業アートとが混在している。写真も同じで、日本独自の伝統的なアート写真の歴史は明確にはなく、なんでもありの世界だ。数多くのカテゴリーの写真がばらばらに存在する土壌になっている。一貫する独自の価値観もないし、アートに関してはプロ・アマの違いも不明確だ。私たちを含めアート写真ギャラリーが拠り所にするのは海外の価値観なのだ。
日本人作家が海外に進出する場合は、その国の価値観の中に自分の作品を位置づけなければならない。もしくは、日本の状況と自分の作品を、歴史的背景を踏まえて新たに意味づけができればそれでもよい。現代アートの村上隆はその手法で成功している。
日本の広告写真界出身のM氏は、米国のアート市場で日本人写真家としての自分のアイデンティティーに思い悩んでいるようだった。広告とアートが区別されない日本で育った彼は、本能的にニューヨーク・ギャラリー界の価値観に違和感を持ったのだろう。広告のバックを何らかの形で生かしたアート作品を米国市場にアピールできないかと考え続けているのだ。
実は私も、日本のアート写真界には現状を正しく解説する何らかの理論武装が必要だと考えていた。だぶん日本には、M氏のように欧米のアート写真の価値観に違和感を持つ写真家、オーディエンスが数多くいるはずだ。彼らがより自由に創作活動を行いメッセージを世界に発信するには日本独自の基準が必要なのだ。これは2008年に追求するテーマのひとつにしたい。
(掲載写真はM氏提供です)

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2008年1月15日 (火)

2月から再びブリッツ・ギャラリーへ

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2月開始の次回展、ハービー・山口「あの美しかった冬の光」(タイムレス・イン・ルクセンブルグ・時の止まった国)からギャラリー名を少しだけ変えて、「ブリッツ・ギャラリー(アート・フォト・サイト東京)」とする予定だ。名古屋店が「ギャラリー・オーチャード(アート・フォト・サイト名古屋)」なので名称を合わせる意味もある。もともと広尾でギャラリーを開始したときは、「ブリッツ・ギャラリー」だった。しかし、運営するブリッツ・インターナショナルの別部門としてアート写真関連のウェブサイトを立ち上げたときに、ネット検索の結果やディレクトリでの表示順が、「A」のほうがブリッツの「B」よりも上にくるという当時の考えで「アート・フォト・サイトギャラリー」したという経緯がある。
今回の「フラワー・パワー」展は、いまの名前での最後の展示になります。
会期は1月19日(土)までです。どうぞお見逃しなく。
今後は、ハービー・山口、斎門富士男、テリー・ワイフェンバッハ、マイケル・デウィックの個展を予定しています。

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2008年1月 8日 (火)

世界一高い35mmカメラ
初期ライカがなんと約5400万円!

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ここ数年、アート写真価格の上昇はすさまじいが、カメラ相場もかなり活況のようだ。
ライカ・マニアの人は既に知っていると思うが、2007年11月17日にウィーンで開催されたヴェストリヒト・フォトグラフィカ・オークションでライカのオークション落札記録が更新された。出品されたのは 0-シリーズ・ライカの No. 107で、なんと手数料込みで336,000ユーロ(約5400万円)で落札。これはライカとともに35mmカメラに支払われた史上最高金額だそうだ。
ちなみに世界最高額のカメラは、フランスSusse Freres製の1839年型ダゲレオタイプで、580,000ユーロ(約9200万円)。
今回のライカが極めて高いのには色々と理由がある。オークション・ハウスによると、ライカA型正式販売開始の2年前となる1923年にライツ社は21台を試験的に製作した。今回出品されたのはその7番目で、特許取得のために米国に初輸出されたものとのこと。まさにライカの原点となる1台なのだ。
その他のライカでは、M3ゴールドno.834000が51,600ユーロ(約820万円)、M3ブラックが22,800ユーロ(約360万円)、 またレンズも高額で落札されている。ズミクロン2/5cmプロトタイプ、ノクチルクス 1.2/50mmが19,200ユーロ(約300万円)だったそうだ。

ギャラリーで作品を扱っている作家のトミオ・セイケ、ハービー・山口はライカ中心に作品制作を行っている。私はカメラ・コレクターではないが、これら写真家との付き合いでライカ関係の話を聞く機会は多い。またライカで撮影された作品展の場合、カメラ・コレクターの人が数多く見にくる。ギャラリーとしては、写真作品を見て、感じて、考えて欲しいので、あまりカメラやレンズのことは説明しない。
しかし、カメラ・マニアは一般よりも写真の知識がはるかに豊富だ。このごろはアート写真コレクションがカメラやレンズへの興味からはじまっても良いのではないかと思っている。ライカ・ファンの年齢層は本当に幅広い。その中でも、特に新しいヴィジュアルセンスを持った若い人の興味は機材から作品に移っていく可能性は高いと思う。真剣に探求しだすと、ハードよりもソフトの方がその奥行きがはるかに深いのだ。ハードはどうしても資金力が問われる。しかし作品なら、センスさえ磨けばお金が豊富になくても楽しむことができる。

2月開始の次回の写真展は、ちょうどライカ・マスターのハービー・山口の写真展「あの美しかった冬の光」(タイムレス・イン・ルクセンブルグ・時の止まった国)となる。カメラ・マニアのディープな世界のことはわからないが、できる限りカメラなどの情報提供も心がけるようにしたい。

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今年もよろしくお願いします

あけましておめでとうございます。
ギャラリーも本日から仕事始めです。
1月19日(土)までは、昨年開始した「フラワー・パワー」展を引き続き開催します。ぜひお見逃しなく!
次回展は2月1日からハービー・山口の写真展「あの美しかった冬の光」(タイムレス・イン・ルクセンブルグ・時の止まった国)を予定しています。本年もよろしくお願いします。

写真展についての詳細はこちらでご案内しています。

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