ニューヨークで開催、アート写真オークション&フォトグラフィー・ショー
クリスティーズオークションカタログより
先週ニューヨークへ行き、フォトグラフィー・ショーやオークションに参加してきた。久しぶりのニューヨークだったが、街の雰囲気はあまり変わっていなかった。気付いたのは、スターバックス・コーヒーがやたら増えていたことぐらいだ。
新聞の論調は、米国経済は完全に後退期に入ったというもの。証券会社ベア・スターズの救済合併などの影響で、チャリティーの大口資金が集まり難くなっていることなどが紙面を賑わしていた。また市場は経済実態よりも先行するので、不況期でもそのサイクルの後半になると株式は悪材料の多い中で上昇し始めることなども、過去の例を提示しながら書かれていた。しかし、経済の転換期は後で振り返ってはじめて明らかになるもの、見極めは決して簡単ではないだろう。
今回は別の訪問目的もありスケジュールが超タイトだった。オークションは4月10日にクリスティーズで開催されたGert Elferingコレクションセールなど一部に参加。このオークションは、日本でも話題になった、フランス大統領サルコジ氏の奥さんである元スーパー・モデル、カーラ・ブルーニのヌード写真が出品されたものだった(上の写真)。そのためアート写真のオークションでは珍しく、TVカメラが数台ならび、立ち見も出るほどの盛況だった。Gert Elferingコレクションからは3回目の入札になるが、今回もファッション系中心の優れた選りすぐりの135点が出品された。ほとんどの作品はきちんと購入先がきちんと記されている。これが重要で、来歴が確かで有名なコレクション収蔵作品となるとそれだけで価値が上がるのだ。
多くの関係者が気にしていたのは経済悪化の影響だった。私の受けた印象は、いまのところアート写真市場は景気後退の影響を大きくは受けていないというもの。多くの作品は、落札予想価格を上回って落札されていた。2月に開催されたクリスティーズのオークション結果はよくなかった。 多くが落札予想価格の下限以下でしか売れなかったのだ。関係者は出品作品のレベルが低かったからと解説していたが、どうやらその通りのようだ。つまり、いつでも買える、モダンプリントなどは景気の影響を受けるものの、来歴の確かな希少で優良作品に対するニーズは相変わらず衰えていないということ。全てのオークションのレビューは後日、アートフォトサイトで紹介します。
さて、例のカーラ・ブルーニだ。この写真はミッシェル・コントにより1993年に撮影されている。大きさは、32.5X22.5cmのモノクロ・プリントだ。エディションは付いてなく、作家から直接購入したものらしい。作品の落札予想価格は、3,000~4,000ドル。(約30~40万円)。しかし、入札開始価格はなんと10,000ドルだった。つまり、入札以前から複数の非来場者による高値の入札があったということだ。その後は、会場、電話での参加者が競り合って、 75,000ドルで落札された。会場内からは、日本人男性が買ったという声が聞こえたが、 結果は中国人コレクターだったらしい。私は本人を確認できなかった。
今年から、競売の手数料が2万ドルまでが落札価格の25%、50万ドルまでが20%となった。その結果、落札者は合計91,000ドル(約910万円)を支払うこととなった。
興味深いのは、カタログには新印象派の創始者で、点描表現を用いた表現を確立した画家ジョルジュ・スーラの、「Standing Model」(1886-87)というオルセー美術館収蔵の絵画が引用されていること。確かにカーラ・ブルーニのポーズは絵画に非常に似ている、欧米のアート写真は絵画の伝統と歴史も踏まえているのだ。
フォトグラフィー・ショーについては次回に触れたいと思います。
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170909/40889313
この記事へのトラックバック一覧です: ニューヨークで開催、アート写真オークション&フォトグラフィー・ショー:

コメント
こんにちは。
オークションの状況を、ライブ感をもって楽しく拝見できました。
今後もこのような「現場」のお話を期待しています。
こう
投稿 こう | 2008年4月17日 (木) 10時06分