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2008年9月30日 (火)

ブリッツ・ギャラリー秋の最新情報

  • マイケル・デウィック新作展「アメリカン・マーメイド」
    Michael Dweck"American Mermaids"
    Blog
    (C)Michael Dweck

    ブリッツ・ギャラリーでは10月14日(火)から、待望のマイケル・デウィックの新作展「アメリカン・マーメイド」を開催いたします。これはデウィックがマイアミに実存する21世紀のマーメイドたちを現地でドキュメントし制作した作品。モデルをプールで泳がせて撮影したのではないのです。写真展では大判オリジナルプリント約20点を展示するとともに、写真集(限定2000部)、オリジナルプリント付き限定版、ポスターも販売予定です。オリジナル・プリント付き写真集「マーメイド」(限定100部)の予約も10月1日から開始します。詳しくは以下をご覧ください。
    http://www.artphoto-site.com/mermaid_book.html


    なお、神戸元町のカフェギャラリー、TANTO TEMPOでは、2006年に開催してたいへん好評だったマイケル・デウィックの写真展「ザ・サーフィング・ライフ」を10月4日から開催いたします。詳しくは以下のTANTO TEMPO のHPで。
    http://tantotempo.jp/

  • ハービー・山口のテレビ出演

    当ギャラリーの人気作家ハービー・山口がBSジャパンの番組に出演します。
    番組名は、「キヤノン プレミアム アーカイブス 写真家たちの日本紀行~未来に残したい情景~」
    10月4日(土)、11日(土)、夜の7時30分~8時に放送。
    ハービー・山口は旅先に東京の下北沢と、下町を選んだそうです。詳しくは番組HPで。
    http://www.bs-j.co.jp/shashinka/

  • 横木安良夫主催の写真展に参加

    同じく、人気作家の横木安良夫が「3000円で写真を売りましょ!買いましょ!展」を
    ブリッツの近くにあるギャラリーコスモスで開催します。
    期間は10月21日~11月2日。
    アート写真市場が現実的にまだ存在しない日本で、写真を"売ること"、そして彼が強調する"買うこと"を実体験してみよう、という横木の確信犯的な試みです。
    参加者を100名まで現在募集中です。
    なお、会期中私もトークイベントに参加して、アート写真市場の現在について話す予定です。詳しくは、以下のHPで
    http://www.alao.co.jp/shinc.html

  • 11月開催の横浜アート&ホームコレクション展に参加

    横浜のみなとみらいの横浜美術館裏にある住宅展示場、横浜ホームコレクション。
    十数棟のモデルホームが建つこの空間で、11月30日まで開催されている横浜トリエンナーレ2008に合わせたイベントとして、アートフェアが開催されます。
    これは横浜美術館の監修のもと、各モデルホームを舞台に現代アートや写真のギャラリーが作品を持ち込み展示販売する試みです。最近は、ホテル客室を舞台のアートフェアーが行われていますが、それを住宅に拡大したものです。ブリッツ・ギャラリーは本展に参加することが決まりました。
    出品作家などの詳細が決まりましたら、ウェブサイト上で案内します。

    横浜アート&ホームコレクション展
    http://www.yaf.or.jp/yahc/index.html

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2008年9月23日 (火)

所有とコレクションとの違いとは?

Blog1

ことしの夏休みに福島県の羽鳥湖高原周辺の別荘地を歩きまわる機会があった。面白いと感じたのは、きちんと手入れされている別荘がある一方で、たぶん長い間誰も訪れていないのだろうと思われる荒れ果てた建物がかなり見られることだ。高原では季節ごとの手入れを怠ると、瞬く間にまわりが雑草だらけになってしまうのだ。土地だけ購入してそのままになっている場所も多かった。それらはのほとんどは整地されておらず原野状態だ。
20世紀の日本人は物質的な満足を追求してきた。バブルの時代は、別荘やクルーザーを持つことが憧れのような時代の雰囲気があった。海外のコンドミニアムなども紹介されていた。しかし、別荘などの不動産を持ってしまうと、利用しないといけないという脅迫概念がでてくるのだ。私もサラリーマン時代、250ccのスポーツ・バイク、クルマとスクーターを所有していた時があった。週末は、それらを動かさないといけないというプレッシャーがとてもきつかった。念願の別荘を入手した人は、嬉しくて最初の時期は頻繁に訪れていたはずだ。それが次第に負担となり訪問回数が減っていったのだろう。実際、メンテナンスにはかなり手間がかかるとのことだ。冬場は凍結防止のための水抜きが必要。また居住用でない別荘は固定資産税が安くないという。本当に田舎暮らしが趣味の人でないと維持していくのは容易ではないようだ。欲しいものが手に入り、夢が現実になると精神的に不自由になることもあるのだ。荒れ果てた別荘地は、所有することの苦悩を教えてくれる。

"夏草やつわものどもが夢の跡"
という芭蕉の句を思い出した。夏草の茂る別荘地をみて、物質文明のなかで経済戦士たちが求めていたが消えていった夢をしのぶ、といった感じだ。
Blog2

しかし、財産の所有と好きなもののコレクションは別だと思う。コレクション論については、以前紹介した長山靖生氏の展開した「おたくの本懐」(ちくま文庫)が非常に参考になる。コレクションは、「好き」を追求する一種の知的な行為なのだ。
たとえば、アート写真の目利きになるためには、フォトブックや関連資料のコレクションが不可欠だ。それらをじっくりと見て、作家のメッセージを読み解くことの繰り返しが必要だ。自分の記憶の中の作品データベースが充実してくると、写真の良し悪しを好みや評判だけでなく判断できるようになる。さらに継続してコレクションの集中が進むと新しい世界が見えてくる。膨大な蓄積の中の新たな組み合わせの発見や突然変異的な展開がおきて、独自の視点が獲得できるようになるのだ。
ハーパース・バザーで活躍したアート・ディレクターのアレクセイ・ブロドビッチが、自分を驚かせる写真を写真家に求めたことは知られている。それはこのような洗練された新しい視点を提示しろという意味なのだ。よく誤解されるが、決して奇をてらった写真を撮影することではない。

しかし、コレクションを極めることは金銭的、精神的、また収納するスペース的にも決して生易しいものではない。ほんとうに自分が好きでないと継続できない。ところが好きを追求しているベテランのコレクターのなかには、本当に驚くべき目利きの人がいるのだ。彼らはアマチュアだがプロ写真家よりも写真を見る目を持っている。ギャラリストは時にそのようなハイレベルのお客様を相手にしなければならない。彼らに負けないように、日々情報を収集しまくって自らのレベルアップの努力が必要だ。それができなくなったときが、引退の時期だろうと思う。

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2008年9月16日 (火)

40歳代は若手? アート写真作家の世界

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(C)Motoyuki Kobayashi

現在、小林幹幸の写真展「ナチュラリーズ」を開催中だ。彼のような若手写真家の展示はできる限り意識して行おうと努力している。アート写真の世界では小林のような40歳代はまだ若手だ。この時期の写真家は作家として羽ばたくかどうかが問われる非常に重要な時期。写真展を通じて自分のメッセージが伝わるかの検証を行い、その結果から色々なことを感じて、考えて欲しいのだ。                                 

若いときはみんな自分は天才だと思い込んで作品作りをしている。自分が良いと思う写真は見る人も良いと思うはずだと妄信している。それは若者の特権で、まわりは優しく見守ってくれるだろう。この時期の写真家は自分に心地よくない意見を聞かないことが多い。
実際、優れた感性を持っていれば良い写真は撮影できる。しかしそれだけでは、アートとして人の心に訴える作品はできないのだ。

40歳を超えてくると、人生は自分の思い通りにはならないことを実体験を通じて学んでいく。現実は厳しい、作品が賞賛されるどころか、誰にも関心を持ってもらえないことの方が多い。そしてしだいに現実世界と、自分の理想世界とのギャップが大きくなっていく。最初はそのことを黙殺するのだが、どこかの段階で否定しきれなくなる。天才だと思っていた自分は思っていたほどたいしたことないと気付かされるのだ。これらの気付きは写真展開催を通して顧客と対峙することでより実感する。

優れた写真家は、この段階で自分自身を見つめなおすことができる。つきつめると人間はいつか死んでいく孤独な存在だ。周りからの評価だけを求めて生きることではなく、自分自身のやりたいことを追求することが重要なのだと気づくのだ。そうなると周りへの期待が消えるので色々な意見を聞く余裕ができる。エゴがなくなり、作品に幅ができるので見る人を感動させる作品ができる可能性が高まるのだ。                        

しかし、事実を直視できない人も非常に多い。何歳になっても自分のことを誉めてくれる人としか付き合わないのだ。しかし、どこかの段階で現実の重みに負けてしまう。彼らは様々な言い訳をつくって結果的に作家活動を止めてしまうことになるのだ。若くして成功した人が、作家活動を継続できずに消えていくのはこのような理由による。優れた才能がアートの世界で生かされないのは非常に残念だ。人生で最初から自分の思い通りになることなどそんなに多くない。しかし、人間は弱いので結果がついてこないことの追求は困難なのだ。

何でアーティストはそんな行為を続けられるのか?それは人生を達観した上でどうしても世に伝えたい強い動機を持っているからだ。その行為自体がすごいと思うし、感動的でもある。「私なんてたいしたことありません」と本心から素直に言える人が案外すごい作家になっていくのだ。外から見ていると彼らはすごい能力を持っている。要はたいしたことないという認識も、作家自身が持つ高い理想像と比べてのことで、一般的に能力が劣るということではない。50才代で活躍しているアート写真作家は独自のスタイルを確立した一方で、自らを客観視できる余裕を持つ人なのだ。小林幹幸はそのようになる可能性を持った写真家なのだと思っている。

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2008年9月 9日 (火)

世界的な景気後退の気配
アート写真市場の今後は?

Blog
New York のアート写真フェア会場(2008年春)

経済が比較的好調だった英国も完全に景気後退に入ったようだ。9月5日のTIMES紙オンライン・ニュースのヘッドラインには、自動車販売クラッシュ!という刺激的な記事が掲載されていた。8月の新車販売が40年ぶりの低水準だったそうだ。自動車はこの国最大の産業なので消費などへの影響が懸念されているようだ。また不動産市況も過去1年でかなり悪化しているとのこと。しかしインフレ懸念から金利は下げることができないので、株価が下落している。市場は早くもその先を読み始めて通貨も安くなり始めている。
サブプライムローン問題以来、米国経済は弱含みが続いている。影響はついに雇用までに波及し、8月の実業率は6.1%に急上昇している。好調だった新興国経済も中国上海株の弱気相場入りが象徴しているように減速傾向が明らかになってきた。欧州経済も悪化しているがインフレ懸念から思い切った政策がといれない。英国同様に市場は先読みして強かった通貨ユーロが下落しはじめている。
最近気になるのは、原油を初めとした商品相場も夏前にピークをつけたあとに下落をはじめていること。相場が下落するとヘッジファンドは損失穴埋めのために株や通貨を売ることになる。最近の動きはどうも世界同時の景気悪化による需要減退を織り込み始めているようだ。

アート・フォト・サイトでは春と秋のニューヨーク・アート写真オークションのレビューを通して相場動向を紹介している。昨年の春がいままで右肩上がりに上昇してきた相場のピークと見られている。現在は、希少で質の高い作品に対する需要は相変わらずなのだが、それ以外の中間価格帯の動きが非常に鈍くなってきている。昨年来の金融市場では、株は下落したものの、原油、商品市場などの現物に資金が流入した。アート作品も現物の一部だから影響は小さいだろうという楽観的な見解もあった。しかし上記のように、新興国が世界経済の牽引車になれないで欧州も景気後退になると世界同時に景気後退が起こる可能性も否定できなくなるだろう。
アート市場は実際の経済より遅れて影響がでてくる。来年にかけての動向が要注意になるだろう。暴騰している中国の現代アートなどは非常に危うい感じがするものの、アート写真市場の影響はそんなに大きくはないかもしれない。今回の大きな上昇相場に乗り遅れて欲しい作品が購入できなかった人が世界的にかなりいるからだ。相場が下落してきた段階では売り手が増えるよりも、 買い場探しの動きの方が強く、市場は下支えされるのではないだろうか。2000年のネットバブル崩壊で市場は調整した。しかし、その後市場参加者は世界的に増大している。たぶん価格レベルではそこまでは下落しないかもしれない。

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2008年9月 2日 (火)

最近購入した写真集
巨大・重量級の本2冊

最近は写真集が巨大サイズ化、重量化している。オフィスには大量の写真集があるので、スペースの問題からできる限り大きなものは避けるようにしている。タッシェン社が1999年にヘルムート・ニュートンのSUMOブックを出版したときは見本を見て、120 x 80 x 15 cmという あまりもの大きさに購入を断念した。
しかし、ギャラリーの取り扱い作家などの場合は購入することもある。テニュイ社がブルース・ウェバーの写真集"Blood Sweat And Tears"を2005年に刊行したときはサイン入りのものを何冊か海外の書店から入手した。これは37.8 x 29 x 6.6 cmとサイズはともかく、分厚くて重い本だった。航空便の送料が非常に高かった。
久しく、巨大サイズ本を避けていたのだが先月はどうしてもコレクションに加えたい本があり2冊購入した。

1冊目は、スティーブン・ショアーの"A Road Trip Journal"。サイズ43.6 x 30.8 x 5.4 cm、スリップケース入り。
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これは1973年に彼が行ったアメリカ横断ロードトリップ中に記された本人の日記帳を完全に再現したもの。彼は日記に旅の詳細を記録していた。写真と共に、宿泊場所、食事、見たテレビ番組、撮影枚数、走行距離などを事細かに記録するとともに、クレジットカードのスリップ、 レシート類や葉書までもを糊付けした。本書にはこの旅で撮影された写真約227点を未発表作も含めて完全収録している。この本の購入動機はすべてにシリアルナンバーと本人直筆サインが入った3300部の限定本であること。しかし、3300部は限定というには非常に多い数だ。スティーブン・ショアーはサインが大変だっただろうと思う。価格は定価250ドルと高価だったが、サイン本、限定本にはどうしても心が動かされてしまうのだ。

もう1冊はロンドンをベースに活躍中のティム・ウォーカー(1970-)の"Pictures"。本書はテニュイ社刊、"A Road Trip Journal"よりやや小さいが約37.8 x 28.8 x 6 cmの大判写真集。
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彼は日本でも人気急上昇中の写真家だ。昨年に発売された、"I love pictures"は都内の洋書店でもずっとベストセラーだった。彼は現在のファッション写真の最先端を疾走している写真家。そのロマンチックかつ無邪気な雰囲気に満ち溢れた非日常的な世界は、非常に創造的かつ装飾的だと高く評価されている。本書にはこれまでの代表作品や、普通は公開しない、スケッチ、コンタクト・シート、ポラロイドなども収録されている。彼の発想から実践までを幅広く網羅し、ファッション・ヴィジュアルが誕生する複雑な過程を紹介。こちらは、限定版ではないので125ドルだった。

最近の大手出版社による巨大・重量級本のブームはどうも出版社側の利益追求の結果による気がする。個人的には、これらは手にとって気軽にページをめくって見れないのが不満だ。どうしても積み重ねて収納するので見る機会が少なくなってしまう。また重い本は、時間の経過でどうしても綴じ部分が紙の重量で傷みやすい。サイズは大きくてもせめて軽い本にして欲しいものだ。いずれにせよ、5年後くらいの古書市場での評価が楽しみだ。

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