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2009年1月20日 (火)

速報 写真集人気ランキング
何でロバート・フランク"The Americans"はすごいのか?

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アート写真コレクションの人気分野として確立しつつあるフォト・ブック。アート・フォト・サイトでは毎年写真集人気ランキングをネットでの売上高をベースに算出して発表している。
2008年の速報データが整ったのでその一部をご紹介しよう。

1位はダントツにロバート・フランクの歴史的な写真集"The Americans"だ。これは同書の刊行50周年記念版。今回のスタイドル版ではフランクが、デザイン、制作、紙のセレクションまで、全ての過程に参加。83点のイメージはヴィンティージ・プリントから新たに制作。スカロ、アパチャー、デルピエールなど、複数出版社から過去に何度も出版されているが、今回また新たに購入した人も多かったのではないだろうか。私にとっても4冊目の"The Americans"になる。この本についてはあらゆるところで書かれている。その評価はだいたい作家論的、社会学的、写真の方法論的な見地のものによるものだ。
彼は1955~1956年にかけて一万マイルにおよぶ全米をめぐる旅を行った。その実践を通して提示された視点は、米国ドキュメンタリー写真の伝統を受け継ぐとともに、当時の物質文明や国家権力に反発し自由に生きるというビートの精神と通じていたのことがまず重要なのだ。米国版の序文は当初、グッゲンハイム奨学金の推薦者でもあったウォーカー・エバンスが書いていたが、出版時はビート時代の代表作家ジャック・ケルアックになっていた。つまり彼は、現代的なアーティストの姿勢を持つ最初の写真家の一人だったということ。写真で表現する現在のアーティストの精神はすべて彼につながっているのだ。またフランクが、当時の華やかなアメリカのダークサイド・シーンを撮影したことは60年以降に起こる、公民権運動、性革命などを予感させるものでもあった。後にこの点が社会学的に高い評価を受けるようになるのも重要だ。このあたり関しては多くの人が語っているのでここでは詳しく触れない。
写真での作品制作も革新的だった。当時はアンセル・アダムス的な高いプリントクオリティーを愛でるモノクロ写真やフォトジャーナリスト的な決定的瞬間を重視した写真が中心だった。彼は写真を通じてパーソナルなメッセージを伝えようと試みた。35mmライカカメラを駆使し、自由なフレーミング、フォーカス、ライティングで撮影された写真は当時の常識からはかけ離れていた。そして写真のセレクション、編集、配列を自らが手がけ、写真集形式のダミー版を制作している。彼はすでに1946年の時点にスイスで撮影した写真を"40 Fotos"と呼ばれる写真集形式にまとめていた。その後の南米の旅でも作品を写真集にまとめている。当時の写真は記録性が重視だったので、撮影年や、撮影場所で編集されることが多かった。彼のように、イメージの流れの中で作品テーマを伝えるアプローチは決して一般的ではなかったのだ。
ロバート・フランクは作家の精神を持った写真家だった。現在では当たり前の、パーソナルな視点で時代的テーマを写真で追求し、写真集形式で発表したはしりの写真家だった。彼は写真が自己表現の手段に成りうることを実証したのだ。
だから彼の写真集"The Americans"と、ウィリアム・クラインの"New York"は現代写真のルーツと高く評価されているのだ。

ランキングのその他では、ティム・ウォーカーが大健闘。2冊の本がベスト10に入っている。昨年1位のスティーブン・ショアーも引き続きランクイン。その他、アニー・リーボビッツ、マイケル・デウイック、アンドレ・ケルテスがベスト10入りした模様。
現在、最終的な編集作業を行っています。2008年の最終順位は近日中にアート・フォト・サイトで紹介します。

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