« 巨大化するアート写真
現代アートが写真を変える!
| トップページ | 三次元の写真展レイアウト
高橋和海「ムーンスケイプ」 »

2009年3月 3日 (火)

オリジナルであることと
感覚でシャッターを押すとき

Blog_2
先週末より展示している好評の最新作

現在、ギャラリーで写真展開催中のNaoki氏。来廊者がいないときなどには色々な興味深い話を聞くことができる。最近、とても面白いと感じたのが、"感覚"や"感性"についての考えだ。以下に彼の趣旨を私なりに解釈してまとめてみた。アート写真に興味ある人には参考になると思う。

25年以上のキャリアがあるNaoki氏でも、撮影の瞬間に確信が持てないときが数多くあるという。 そんなとき、彼はシャッターを切らない。しかし、感覚ということを言い訳にシャッターを押したくなる誘惑はある。自分の自信のなさを、あいまいな感覚やフィーリングとかで認めてしまいたくなる心境はわかる。
たとえば、誰でも取り組むテーマのシティー・スケープス。郊外のありきたりの都市風景を撮影したとする。普通のものはいくら努力しても普通にしか撮れない。しかし、露出の関係で少し明るめにシーンが撮影できたとする。それが、いい感じでオリジナルだというような、感覚を重視した評価を下したくなる誘惑は誰にでもあることだ。写真を撮影した経験のある人はその気持ちがわかるのでそんな感じの写真に理解を示す。アマチュア写真家同士で作品を評価し合う時などはお互いにその感覚は共感されやすいだろう。写真好きの編集者も多い。写真家と編集者が感覚を共有できれば雑誌などで、発表されることもあるだろう。
日本は、評論家やキュレーターもクリエーター志向が強いので、写真家の感覚が愛でられがちだ。彼らは写真に評価を与える立場にいるので、それが写真の評価軸のように考えられてしまうこともある。感覚は評価軸が不明確なので、どうしても権威の確立した人に頼りがちになる。そのような写真家が感覚的に撮影した作品に似ていることが評価される。

写真を撮影する人は、オリジナルプリント、写真集、雑誌を購入することが多い。確かにそこにマーケットは存在する。しかし、感覚を重視するのは、写真を撮影する人のコミュニティーにおいてだけだ。撮影にまったく興味なく、純粋に写真を見るコレクターにはそのような感覚は理解不能なのだ。アートの世界ではコレクターがお金を出して作品を買う。心に届くような強い感情は重要だが、自分が理解できないあいまいなものには彼らはお金を使わないのだ。

感覚は、写真家が自己満足か、自己弁護に陥りやすい危険な麻薬のようなものだ。 たぶん麻薬のように害があるがなくならないだろう。それが自己肯定になり心地よいからだ。また評価基準がないので、見る人がお互いに認め合うかぎり誰も傷つかない。

欧米でオリジナルであることが重要視されるのは、それがあいまいな感覚などと違い唯一独立して存在する価値基準だからだ。それはアレキセイ・ブロドビッチが語っているように、奇をてらうことではなく、洗練された表現を通して個性を出すことなのだ。もし真のアーティストを目指すならオリジナルであることを志向し、時代の価値観に対する明確な認識が必要不可欠だ。それらが優れた感覚と重なりあった作品は見る人の心を揺さぶり理性的な共感を誘うのだ。

|

« 巨大化するアート写真
現代アートが写真を変える!
| トップページ | 三次元の写真展レイアウト
高橋和海「ムーンスケイプ」 »

コメント

初めてコメントします。
Naoki氏のコメントは言葉を置き換えると度の世界でも言えることだと感じます。
それだけプロの世界は厳しいということです。

私はスポーツの世界にいましたが、狭い世界で傷つけあうことなく予定調和として進んでいくことが多々ありました。それは今の政治の世界でも同じでしょう。

感動した!と一言で片づければそれは劇場にになってしまう。今は何も言えずただただうなずいているだけです。

投稿: sogo | 2009年3月 5日 (木) 22時57分

sogo 様
コメントをいただきありがとうございます。Naokiさんのお話の内容はブログでは伝えきれないことがたくさんあるのですが、今回の内容をわかってくださる方がいらしてとても嬉しく思います。おっしゃる通りどの世界でも同じことが言えると思います。
Naoki写真展は3月21日まで開催しています。ぜひお越しください。

投稿: Yoshiro Fukukawa | 2009年3月 6日 (金) 11時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170909/44233865

この記事へのトラックバック一覧です: オリジナルであることと
感覚でシャッターを押すとき
:

« 巨大化するアート写真
現代アートが写真を変える!
| トップページ | 三次元の写真展レイアウト
高橋和海「ムーンスケイプ」 »