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2009年5月26日 (火)

川崎市市民ミュージアムで写真展開催!
新刊写真集「Hope 空、青くなる」も発売
6月はハービー山口・月間!

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パルコで開催した渋谷・アート・フォト・マーケットでは、ハービー・山口の代官山17番地シリーズからの代表作「トゥモロー」をロベルト・ドアノーの「市庁舎前のキス」と上下に展示した。横には、パメラ・ハンソン、ハーブ・リッツ、マイケル・デウイックだった。複数作家の作品の同時展示は作家の実力をテストするような場所になってしまう。力のない作品は一目瞭然なのだ。しかし、ハービー・山口の作品はその他の実力派外人作家の中で違和感なく存在していた。つまり作品性でまったく負けていなかったのだ。来場者からの評判も非常に良かった。彼の写真が欧州のヒューマニスト系作家の流れを引き継いでいることが良く分かる展示だったと思う。

実は、6月はハービー山口・月間だ。東京周辺で3つの写真展が同時開催されるとともに、近作をコレクションした写真集も刊行される。

メインは6月20日から川崎市市民ミュージアムで行われる大規模写真展、「ポートレイツ・オブ・ホープ」 (~この一瞬を永遠に~)だ。静かなシャッター、代官山17番地、東欧、真冬に咲いた花、ロンドン・アフター・ザ・ドリーム、ミュージシャンのポートレートなどのシリーズから未発表作品を含む約240点が展示される。コマーシャル、ファッション系の現存写真家による公共美術館での回顧写真展開催は彼が初めてではないだろうか。期間中は、ギャラリー・トークやトーク・イベントがいくつも企画されている。
ギャラリーに来る人以外は、まだ彼が有名ミュージシャンのポートレート専門写真家と思っているかもしれない。今回、すべてのシリーズが同時展示されることで、ハービー・山口の一貫した世界観が見る人に伝わるのではないだろうか。アーティストとして彼のメッセージに共感してくれ、新しいファンが増えることに期待したい。
詳細:川崎市市民ミュージアム
http://www.kawasaki-museum.jp/display/exhibition/exhibition_de.php?id=66

ハービー・山口ファンの人は気付いたと思うが、川崎で唯一展示されない代表シリーズが、「タイムレス・イン・ルクセンブルグ」だ。こちらは、6月11日から7月3日まで千代田区の新東京ビルにある丸の内カフェで展示される。これは丸の内界隈で行われる、「ルクセンブルク in 丸の内」の関連企画で、モノクロ作品約30点の写真展となる。6月16日にはセミナーが開催され、ハービー氏もゲストとして参加する予定だ。
詳細:丸の内カフェ
http://www.lux-invest.or.jp/marunouchi/index.html

17日からは、銀座の三愛ドリームセンターにあるリコーのRING CUBEで「the Roots ~CHEMISTRY~」  が開催される。本展は、ハービー・山口が二人組アーティスCHEMISTRYのそれぞれの活動の原点の地に赴き、トークや旧知の人々との再会を通じて、彼らの素顔や思い出に迫ったモノクロ作品約40点を展示するもの。その様子は、音楽チャンネルMUSIC ON! TVの特別番組としても放送されるとのこと。
詳細:Ring Cube
http://www.ricoh.co.jp/dc/ringcube/event/herbie.html

新刊写真集、「Hope 空、青くなる」は川崎の写真展にあわせて講談社から刊行予定。予価2,800円、未発表作中心にモノクロ約130点が収録される。本の帯には、荒木経惟氏、松任谷由美氏の素敵なメッセージが飾る予定とのことだ。

写真展、写真集など、新たな情報が入り次第お知らせします。ちなみに、わたしども、今年の秋から年末にかけて、東京と仙台でハービー・山口の写真展を開催予定です。

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2009年5月19日 (火)

コレクションは高度な知的遊戯
アート写真の情報提供

Rarebook2009

現在、渋谷パルコのロゴス・ギャラリーで開催中の「レアブックコレクション2009」。もう5年以上も行っているが、回を重ねるごとに日本でも確実の写真集コレクションが根付いていることを実感する。
私はコレクションは高度な知的遊戯だと思う。写真集を集める人は、写真家キャリア、作品コンセプト、本の評価など、ある程度の情報を既に持っている。写真史も自分好みの写真家周辺については把握しているのだ。それらの情報を持つ人が、現物と出会い、自分の持つ価格の相場観、状態などを考慮して総合判断を下すのだ。まったく知らない写真集を、中身がよかったから購入するようなことはアート系のフォト・ブックではあまりない。写真集の中身をページごとに丹念に見る人は、写真自体を見ているので購入しない場合が多い。写真集というモノを買う行為は実は情報を買う行為でもあるのだ。

だから私たちギャラリー関係者にとって、様々な情報提供が中長期的に重要な仕事となる。それは写真家や作品の情報提供だけにとどまらない。昔、NYのギャラリストは写真が売れないときに、写真を飾ったインテリアのイメージを盛んにインテリア雑誌に提案したという。彼らは、写真を飾るのは素敵だという情報提供を試みていたのだ。ニューヨークでも写真コレクターは昔からいたが、写真を部屋に飾ることが一般に浸透したからこそ市場規模が拡大した面もあるらしい。

今回多くの種類の写真を壁に飾ったのは同じような意図がある。自分の家に写真があるシーンを想像してほしいのだ。今回のようなイベントでは、もちろん売れればよいのだが、古い写真集やアート写真に実際に値段がついて売られているシーンを見てもらうことも重要と考えている。実際、ロベール・ドアノー、ハーブ・リッツ、ピーター・リンドバークなどのオリジナルプリント、ウィリアム・クラインの都市4部作やブロドビッチのポートフォリオの現物を初めて見たという人も多かった。パルコには普段ギャラリーにこない人もたくさん訪れる。そのような人に、写真や写真集がアートとして高額で売られていることを発見し、経験してもらうことが市場拡大のために重要なのだ。絶版になったレアフォトブック100冊以上や複数作家のオリジナルプリントを一堂に展示販売するような企画はあまりないと思う。

昔はデパートなどでの中小規模の写真展が盛んに行われていた。90年代中ばくらいまでは海外のギャラリーの主要な企画展は、デパートのギャラリー・スペースに巡回していた。そこで写真が売られていることを見て学生時代の私は強い刺激を受けたものだ。いま商売としてアート写真と関わるのはその時の経験があったからだ。
現在の写真展は、美術館で開催する大規模なものか、小規模のギャラリー以外でしか行われない。普通の人が販売されているアート写真やレア・ブックに触れる機会が極端に少なくなっているのだ。「レアブックコレクション2009」に、ふらっと立ち寄った人が何ならかの刺激を受けてアート写真に興味を持つきっかけになればうれしく思う。

イベントは、ほぼ半分の期間を経過した。おかげさまで写真集はかなりの冊数が売れてしまった。水曜日には追加納品する予定だ。しかし、特に2万円以内の目玉写真集はまだかなり残っている。渋谷方面にお出かけの際はぜひパルコ地下1階のロゴス・ギャラリーにお立ち寄りください。

http://www.parco-art.com/web/logos/rarebook0905/index.php

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2009年5月12日 (火)

「レア・ブックコレクション2009」
渋谷・アート・フォト・マーケット
今年も渋谷パルコで開催!!

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毎年5月の連休明けに渋谷パルコのロゴス・ギャラリーで行っている「レア・ブックコレクション」。2009年は、5月13日(水)~26日(火)まで、オリジナル・プリントを展示する「渋谷・アート・フォト・マーケット」とともに開催する。今回もファッション、ドキュメンタリー、ポートレート系中心に人気の高いレア・ブックス約100冊、オリジナルプリント約26点を展示、販売する。

写真集と写真作品のセレクション時に最も考慮したのが不景気の影響だ。世界的な不況の荒波をアート業界もまともに受けている。今年春に開催されたニューヨークのアート写真オークションでは、昨年まで分厚く、複数冊刊行されていたササビーズ、クリスティーズのカタログが超薄い1冊になりみんな驚いていた。アート写真界の最近の傾向は、市場の二極化現象だ。有名作家のヴィンテージ・プリントなど希少なものはあまり値段は下がっていない。しかし、現代作家による最近制作された作品への需要が急減している。特に、近年に急騰していた現代アート系写真が大きな影響を受けている。中堅作家による不人気イメージのモダンプリントなどは値がつかないこともあるらしい。 オークションハウスは、出品作の数、質ともにかなり絞り込んでいる。いまや落札結果だけでは市場の正確な状況は把握できないのだ。

さて写真集だが、本は個別のコンディションにより値段は大きく違ってくる。フォト・ブックはコレクション対象になって日が浅く、まだ値段はそんなには上昇していない。それゆえオリジナル・プリントより影響は少ないかもしれない。だが選別化の流れの影響はどうしても避けることはできないだろう。実際、ここ数年暴騰していた日本人写真家の60年~70年代前半までの写真集の相場は明らかに下降傾向だ。外人コレクターの購買意欲の減退と円高が影響していると思われる。

以上から、今年は従来よりもコレクターズ・アイテムとして評価の定まったレアブックの出品を多くしてみた。そして、現代アート系のブームにつられて上昇していた分野の中間価格帯の本はやや少なめにし、2万円以下のレアブックとしては低価格帯を充実させてみた。またオンライン・ブックショップの相場を越えないように価格設定にも気をつけた。最近の購入希望客の多くは、ネットで相場を調べている。パルコで開催しているが値段は欧米の市場価格の範囲内に抑えているのだ。

今回メインになるのはウィリアム・クラインの、「ニューヨーク」、「東京」、「モスクワ」、「ローマ」の都市4部作。またブルース・ウェバーの最も入手困難な写真集、「レッツ・ゲット・ロスト」、「ノー・バレット・パーキング」、ハーパース・バザー誌の伝説のアート・ディレクターであるアレクセイ・ブロドビッチの幻の雑誌「ポートフォリオ#2」、「ポートフォリオ#3」などだ。
その他では、常に人気の高い、アンドレ・ケルテス、リチャード・アヴェドン、アーヴィング・ペン、ヨゼフ・スデク、ロバート・フランク、ウォーカー・エバンス、ヘルムート・ニュートンなどの人気写真家によるフォト・ブックも展示される。ほとんどが今回のために仕入れた1点ものだ。

今年のもうひとつの目玉が「渋谷・アート・フォト・マーケット」。海外のアート・フェアーの展示ブースをイメージして、アート写真のオリジナル・プリントを会場の壁面に展示する企画だ。プレスリリースには、「最近、コレクター以外にもカジュアルな感覚でアート写真を求める人が急増しています。現代アートと比べて価格が安く、また小ぶりでどんなインテリアにも合わせやすいことが人気の背景です。しかし、壁に飾ってカッコいいアート写真とはなかなか出会うことができません。今回は、国内外で人気が高い作家による、特にファッション性、時代性を感じられる作品を紹介いたします。」と書いた。
写真を欲しい人はとても多いが、気に入った写真が売られていないのが現状だと私は理解している。たとえば、写真を探しに最近流行のアート・フェアに行っても、自分の予算内の気に入った作品にはなかなか出会えないと思う。今回はその辺の事情を考えて、ストレートにカッコいいアート写真だけをセレクトしたつもりだ。価格帯は5万円~150万円、モチーフも。ファッション、ポートレート、ヌード、花、風景までと様々だ。
マイケル・デウィック、パメラ・ハンソン、テリー・ワイフェンバック、ロン・ヴァンドン、ハーブ・リッツ、ピーター・リンドバーク、ロベルト・ドアノー、トミオ・セイケ、ナオキ、ハービー・山口、横木安良夫、中村ノブオ、高橋和海などの作品約26点が出品される。

「レア・ブックコレクション2009」と「渋谷・アート・フォト・マーケット」は5月13日(水)~26日(火)まで、渋谷パルコ地下1階のロゴス・ギャラリーで開催。
私はだいたい夕方から夜には会場にいる予定だ。アート写真やフォト・ブックのコレクションを始めたい人、コレクションのアドバイスを希望される人は気軽に声をかけて欲しい。
多くの人と出会えることを楽しみにしています。

内容については以下のパルコのウェブサイトをご参照ください。
http://www.parco-art.com/web/logos/rarebook0905/index.php

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