« 残念!エスクァイア、スタジオ・ボイスの廃刊
いま求められる情報の品質とは?
| トップページ | 皆既日食で宇宙感覚に触れる
アートでも可能な類似体験 »

2009年7月21日 (火)

マンハッタンのダナ・キャランで作品展示中!
丸山晋一「空書(KUSHO)」

Blog2

*All Photographs by Shinichi Maruyama

現在、ギャラリーで写真展開催中の丸山晋一「空書(KUSHO)」。海の向こうニューヨーク・マディソン・アヴェニューにあるダナ・キャランの旗艦店でも8月8日まで、同シリーズが展示されている。(Donna Karan New York, 819 Madison Avenue)
きっかけは、今年の1月から3月までブルース・シルベスタイン・ギャラリーで開催された写真展をダナ・キャランのヴィジュアル・ディレクターが見て気に入ったからとのこと。ダナ・キャランは、メンズウェア、レディースウェア、香水が主なラインナップの日本でも知られたブランド。ファッション写真好きの人は、彼らがピーター・リンドバークやハーブ・リッツを起用して行ったファッション・キャンペーンを覚えているだろう。シンプルで洗練された服で知られているが、シンプルやミニマムはその背景には禅思想の影響があるといわれている。今回の展示の背景には、彼らのデザイン・コンセプトと相通じる精神性を丸山の作品に感じたからだと思う。
アメリカ人のダナ・キャラン(1948-)本人のキャリアを見てみると、波乱万丈の人生を歩んできた人のようだ。デザイナーとしては成功するが、香水事業の失敗などで経営者としては辛酸をなめている。今では、ブランドをLVMHに売却し、デザインに専念している。何か、ポジティブ・シンキングを追求する典型的なアメリカ人のビジネスエリート像と見事に重なる。彼らは精神的な安定を求めることにも積極的だ。彼女も一時期、やや怪しい印象をもたれやすいニューエージ思想にはまっていたことがあるらしい。それも厳しい競争社会で精神的に強くありたいという思いの現れで、何かの考えに頼りたかったのだと思う。本人が作品展を直接見たかどうかは聞いていないが、そんな背景を持つ人が空書をみて直感的に心動かされたことは容易に想像できる。

Blog1

*All Photographs by Shinichi Maruyama

なんで丸山のニューヨークでの成功が凄いかというと、商業分野で活躍する写真家がその経験を生かしてアート界でも認められたことなのだ。日本と違い、米国ではアーティストと商業写真家は完全に違う世界の住人なのだ。大雑把に言うと商業写真家はお金儲けの為に写真を撮影する人であまり尊敬されない。
アーティストは自分の表現追求の為に人生をかけている人で、貧乏だが尊敬されるのだ。彼らは奨学金を受けたり、学校の先生を続けながら作品制作を続けている。欧米社会の奥の深さは、真に能力がある人の作家活動をサポートする仕組みがあることだ。作品販売だけで生活できるような人は市場で生き残った一部の成功者なのだ。
じつは、世界的に最も成功している現代アート作家の杉本博司も商業写真との関わりがある。過去にも触れたが彼は米国LAのアート・センター・カレッジ・オブ・デザイン出身。 これは商業写真分野でキャリア形成する人がそのための技術を徹底的に学ぶ場所なのだ。ここで写真を学んだナオキによると、ここからアーティストを目指す人はほとんどいないのだそうだ。なんで商業写真の背景を持つ丸山らが成功したかというと、日本人写真家はアートと広告を特に分け隔てして考えてないからだと思う。アメリカ人写真家は最初からアートを諦めているのだ。もし写真家が世に伝えたい明確なメッセージを持っているのなら商業写真で培った技術、経験はそれを伝えるために非常に有効的な長所になる。
丸山晋一の作品も杉本博司と同様に圧倒的な技術力、高品質が魅力のひとつになっている。海外事情に詳しい日本人写真家がアートに取り組むとなると自分の商業写真のキャリアを消そうとする場合が多い。そして明確には評価しにくい感覚重視のものや、モノクロ写真のプリントクオリティーを追求した作品になりがちだ。今回の丸山の例は、メッセージが明確なら自分の経験の延長上で作品を制作してもよいことを証明している。彼は水の撮影が専門でそれを生かして「空書」をまとめ上げた。この方が慣れないことをにわかに始めるよりも効率的ではないか。作品作りのヒントはまったく違うところではなく自分のすぐ近くにあるのだ。以上から、将来的にアーティストを目指したい商業写真家はぜひ本展を見て、色々と感じて欲しいのだ。写真展は8月8日(土)まで開催中です。

詳しくは以下かkらどうぞ。
http://blitz-gallery.com/index.html

|

« 残念!エスクァイア、スタジオ・ボイスの廃刊
いま求められる情報の品質とは?
| トップページ | 皆既日食で宇宙感覚に触れる
アートでも可能な類似体験 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170909/45697618

この記事へのトラックバック一覧です: マンハッタンのダナ・キャランで作品展示中!
丸山晋一「空書(KUSHO)」
:

« 残念!エスクァイア、スタジオ・ボイスの廃刊
いま求められる情報の品質とは?
| トップページ | 皆既日食で宇宙感覚に触れる
アートでも可能な類似体験 »