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2009年10月 6日 (火)

アート写真市場の動向
注目される秋のニューヨーク・オークション

Blog
クリスティーズ、ニューヨーク

よく美術市場は景気悪化から1年くらい遅れて影響が出てくるといわれる。これは人間心理が簡単に変わらないから起こる現象だ。相場は人間の心理が大きく影響する。長い好景気の時代を経験していると認識を変えるのに時間がかかるのだ。また、最初は短期的に回復するかもしれないと希望的観測を持ったりする。しかし不況が1年以上続いてくると、コレクターの認識が完全に変化して価格調整が本格化するのだ。
これは株式相場で、中長期的な上昇トレンドが下降トレンドに変わったときに起こる現象と同じ。長期視点の投資家は高値付近で売ることは出来るのだが、市場が下落するとこれを買い場と考えてしまう。トレンドが変わったのに、過去の経験則から上昇トレンドの調整かも知れないと考えるからだ。そして損切りが出来ずに不良な塩漬けのポートフォリオになってしまう。これは日本のバブル崩壊の後に起きたことで、その大きな下降トレンドはまだ続いている。

今春から株価や経済指標が好転をはじめ、エコノミストから景気先行きの楽観論が聞かれるようになっていた。しかし現在の不況が80年代から続いた米国経済の借金体質の調整であるならば、これは短期的な景気循環トレンドではなく、もっと大きな構造的な変化が世界的に起こりつつあるのということだ。そうなるとリーマンショックの影響は来年以降も続くことになるだろう。
そんなことを考えていた矢先に、急激な円高と株価の急落が起きている。米国で雇用回復の遅れを表す経済指標が相次いで発表されたことによる。そうなると今度は景気の二番底が来るとの警告がエコノミストから発せられるようになってきた。

さてアート写真市場だが、過去1年間の市場は弱含んだものの予想外に堅調だった。しかし市場の真価が問われるのは、不況がまだ続くかもと多くが考え始めたこれからかもしれない。
その点、今秋のニューヨークのオークションは注目だ。カタログ編集をみるとオークションハウスが十分に警戒していることが良くわかる。まず出品数が大きく削られ、写真史で評価されている作家の代表作の比率が従来以上に高くなっている。かなり選択され絞り込まれた跡が見え隠れするのだ。昨年のオークションで、不落札だった主にプライマリーで活躍する現代の写真家、ファッション系、現代アート系の作品数が大きく減少している。日本人では、杉本博司以外の出品が激減だ。売れそうもない作品はオークションでは取り扱ってくれなくなっている。
出品作には落札価格予想の上限と下限が設定されており、これに相場が反映される。今回は、1年前には予想上限を超えて落札された人気作家の人気イメージについても非常に控えめな設定になっている。予想価格が引きあがられることはなくほぼ昨年と同じ価格がつけられているのだ。
今年の厳選された作品セレクションと出品数では、不落札率があまり高くなることはないと思う。しかしどの価格帯で実際に入札されるかに市場心理が現れる。例年に増してオークションの価格動向が興味深い。セカンダリー市場の地合いの悪さはギャラリーの店頭市場にも少なからず影響を与えるのだ。

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