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2009年12月 8日 (火)

(アート写真最前線)
2009年秋アート写真オークション・レビュー
不況でも消えない写真コレクションへの情熱

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各社オークションカタログ

アート・フォト・サイトに2009年秋のニューヨークアート写真オークション結果をアップした。今年は一部のオークションが11月にずれ込むなどしたので分析に時間がかかってしまった。
全体的な印象は、昨年までのブームが来る前の落着きを取り戻した感じで、特に良くも悪くもない、まあまあの結果だった。実際の数字は明らかに春よりも改善。取引高は増加し、落札率も上昇している。
市場を取り巻く環境は明らかに好転していた。春のオークション時期はニューヨーク・ダウの株価が低迷中だった。その後、中央銀行の量的緩和が効いてきて、金利が低いドルで資金調達するいわゆるドルキャリートレードが活発化。不況下の10%という高い失業率のなかで株高が進行していった。10月~11月はちょうどニューヨーク・ダウの株価が1万ドルを超えて上昇し、2007年秋の高値から2009年春の安値の半値レベルまで戻してきていた時期だった。日本と違い、米国では多くの人が株式市場で資産運用を行っている。コレクターにとって株価上昇により資産が増加することはオークション入札に多少なりとも心理的に良い影響を与えたと思われる。コレクターはやはり生活が安定した人が多いので、将来への不安感が弱まれば好きなものにお金を使う気分になる。アートではこの気分が重要な役割を果たすのだ。
また、オークションハウスが市場環境を考慮して行った、出品作品の絞り込みと、的確な落札予想価格の設定も効果があったと思う。今回は、いままで低迷気味だった新興コレクターが好む、現代アート系、ファッション系の人気も復活の兆しが感じられた。割安な価格レベルでは確実に購入者がいるというアート写真市場の厚みも強く印象付けられた。しかし、作品が積極的に物色されるのはまだブランドが確立した人気作家が中心だった。米国の経済は、景気底割れは回避されたものの、消費は弱く失業率もまだ高いという状態。株価は企業業績の最悪期からの回復をすでに織り込み済みだろう。
以上から、アート写真市場の本格的な回復と広がりにもまだ時間がかかると思う。

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