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2009年12月 1日 (火)

(アート写真最前線)
不況下のオークションとギャラリー店頭市場

Blog
ニューヨークのオークションハウス"PHILLIPS"

相場がよいときは、オークションでたまに奇妙なことが起こる。その時にギャラリーで実際に売られているのと同じ作家の同じような状態の同一イメージの写真が、オークションで遙かに高く落札されるのだ。これは需要が急拡大し、新規のコレクターが参加したことにより実際に起こる現象。彼らは、経験が浅くギャラリー情報を豊富に持たないので、多くの作品が集まるオークションで、欲しいアートを物色する。業者は、再販売目的なので一定の相場レベル以上では入札しない。コレクターは欲しいから買うので、自分の懐具合が判断基準になる。時にプロが考える相場の上限を超える値段でも落札するのだ。すると同様の作品を販売しているギャラリーは直ぐに値段を上昇させる。このように作品価格は上昇していくのだが、だいたいこのようなエピソードが関係者から聞かれるようになる時は相場がピークなのだ。

現在のように市場が弱くなっても、ギャラリー店頭価格はしばらく高止まりする。特に有名作家のセカンダリー作品を扱うギャラリーでは、仕入れ値が高いと販売価格を直ぐに下げられない。だから弱気相場のときは需給が直接反映されるオークションの方が安く購入できる可能性が高くなる。コレクターにとってはチャンス到来かといえば、必ずしもそうではない。売り手は良品を安く売りたくないので、出品数がそんなには増えないのだ。有名作品の代表作品は常に欲しい人が多数いる、それらの値段はあまり下降しない。

相場低迷時に明確になるのはアート作品の流動性だ。これは景気のよいときはあまり意識されないが、不景気になるとそのギャップが顕在化する。アート史の中で評価が固まっている物故作家と、現存作家。現存作家でも地位を既に固めている作家と、若手、新人作家。同じ作家でも人気イメージと不人気イメージとの流動性ギャップが拡大する。好景気時には、知名度に関係なくイメージが好きな人や、高額な人気作品に手が出ない人がそれらを買っていた。以前も述べたが、不況が続くとコレクターは評価の定まった作家の貴重作品以外への関心が低くなる。美術館も購入予算が減少するので同様の傾向を示す。こういうときに主な買い手となるのが、ディラーなどの業者なのだ。彼らは、購入後に再販売することを前提に購入するので想定している販売価格の約50%くらいを上限にビットする。想定価格は業者の持つ相場見通しにより違う。特に不人気作品、知名度の低い作家を積極的に買おうという業者は少なくなる。企業と同様にギャラリーも不良在庫投資を嫌うからだ。これらの結果、オークション・ハウスも出品作品を絞り込むことなり市場規模は縮小する。

このような負の連鎖が市場で起きはじめるとギャラリーの店頭市場も影響を受ける。無名作家の場合、安い作品以外は売れ難くなるのだ。アート写真分野は価格がもともと安いので影響はそんなに大きくない。しかし過去5年くらいに内容が伴わずに価格が高騰した現代アート系の写真はかなり影響を受けるのではないだろうか。有名オークションハウスで取引された現代アート系作家でさえも、25年のうちに生き残るのは半数以下だといわれている。もし、今後も不況が続くと、いままで拡大してきた若手や新人の市場規模は横ばいから減少に転じる可能性が高いと思われる。
しかし、現代社会からアートが消えてなくなることはない、極端に悲観的になる必要もないだろう。以前のネットバブル崩壊後の流れを振り返ると、景気が上向かなくても、これ以上の景気の底割れがないという認識になればアート市場は再び動きだしたのだ。その点からは、景気の2番底が来るといわれる現在は陰の極であるかもしれない。ちなみに、11月にニューヨークで行われたフィリップスのアート写真オークションでは、 有名作家のファッション系、現代アート系作品は再び順調に落札されるようになってきた。心配なのは、再びデフレと言われてきた日本市場の動向の方だ。もともと市場規模が非常に小さいので不景気のインパクトは大きいかもしれない。いままで続いてきた市場拡大の流れが止まらないことを願うばかりだ。

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