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2010年2月 2日 (火)

お金をかけるライフスタイルとの決別
アーティストは新しい生き方を提示する

現在の日本は低成長時代に突入したと言われている。政府やマスコミは新しい成長分野をつくらないと国が滅ぶとやたら危機意識をあおる。私たち庶民は、これからの世の中は成長しないのは当たり前で、仕事の安定などないし、収入も永遠に増えないのではと思っている。戦後ずっと続いていた経済成長の終焉で、私たちは生きる価値観の修正を求められている。いまだに新しいものが見つからないことが社会の閉塞感の一因と思われる。今後、様々な提言がなされ時代の中で検証されていくことだろう。

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© Jürgen Schadeberg

いまブリッツ・ギャラリーで、ヨーガン・シャドバークとハービー・山口の写真展「Two in one in England」が開催されている。私が作品を見て感じたのは、これからはフローでなくストックに頼ることが生きるヒントになるかもしれないということだ。もしかすると写真が撮影された1960年代~70年代の英国が参考になるのでないかと感じた。
私は時代性が反映された写真を広義のファッション写真と考えている。それらは時代の気分や雰囲気を伝えてくれ、時に私たちの頭の中に作られたステレオタイプの歴史観とは違う世の中の現実を垣間見せてくれるのだ。
歴史はあくまでも政府や学者により語られたもので、庶民感覚とかけ離れていることがある。本展の舞台となった英国は、まさに英国病が蔓延して経済と社会が停滞していたと言われた時代だ。しかし、本展でスナップされた、ブライトン、グラスゴーの人々には苦境で苦しんでいるような悲惨な雰囲気がない。たぶんキャッシュ・フローは少なかったなだろうが、案外庶民の生活はそれなりに幸せだったのではと思えてしまう。写真から読み取れる、笑顔、きちんとした身なりはまさにその現れだろう。不幸に感じていると自尊心がなくなる、顔から笑顔が消え、身なりにも無頓着になるのだ。どうして、国、政府が苦しくても個人がそれなりに幸せなのか色々考えてみた。私は経済や社会政策の専門家ではないが、たぶん公園、美術館、博物館などのインフラ施設、「ゆりかごから墓場まで」といわれた社会福祉制度の充実があるだろう。シャドバーグが撮影しているようなパブ中心の地域コミュニティーもあり、多くの人に社会での居場所があったことなどが想像できる。つまり、フローではなくストックを頼りに生きていたということだ。彼らはお金がなくても幸せに暮らせる術を知っていたのだろう。

翻って日本はどうか。いまの政府はかつての英国のように膨大な財政赤字を抱えている。経済も低成長時代を迎えている。マスコミはさかんに危機を訴えている。しかし考え方を変えれば、国が苦しくても国民が豊かに暮らすことはできるのではないか。高度経済成長期に蓄積された膨大なストック、社会資本、金融資産がある。お金のフローが増えない中で、ストックを有効利用した生き方はひとつの方法だろう。
私の全くの個人的な印象だが、都市部ではそのような感覚が生まれつつあると感じている。ブランドが売れなくなってきたのは消費で自己実現するような生き方が時代錯誤だという意識が芽生え始めてからではないか?自分のこだわる分野への選択的な消費も同様の流れだろう。

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© Herbie Yamaguchi

普段見過ごしがちな現象に気づかせてく れ、色々と考えるきっかけを与えてくれる、ヨーガン・シャドバークとハービー・山口の作品群。彼らは、1960年代~70年代の英国の写真作品を見せることで、現在の日本を考えて欲しいというメッセージを私たちに投げかけている。価値観の変動期はアーティストの存在がますます重要になるだろう。これからはアートが時代を引っ張るようになると思う。

ヨーガン・シャドバーク&ハービー・山口の写真展「Two in one in England」は、ブリッツ・ギャラリーで2月6日(土)まで開催中です。

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