« 名作写真誕生の背景は?
"The Contact Sheet"を読み解く
| トップページ | 世にも残酷な写真展?
「Black & White Scape」展 »

2010年3月 2日 (火)

写真ギャラリーの目的別活用法
キャリアにより異なるアプローチ

Blog

日本には数多くの写真ギャラリーがある。同じギャラリーと呼ばれていてもその種類と目的は様々だ。
最も一般的なのは場所貸しを行うレンタルギャラリー。その性格はよく理解されている。 しかしカメラメーカーなどの企業系ギャラリーと、商業ギャラリーとの違いはあまり知られていない。前者は、企業の広報活動の一環業務で年間予算で運営されいることが多い。作品販売も行うことはあるが企画ごとの採算はあまり考えていない。宣伝効果を優先するので観客動員が重要になる。かつては文化支援を目的とするギャラリーが流通系企業により数多く運営されていた。 残念ながら最近の不況でこれらはほとんどなくなってしまった。企業系ギャラリーでは、審査さえ通れば写真家は販売など考えずに比較的自由に作品展示を行える。

一方で、商業ギャラリーは写真のアートビジネスを行っている。それはギャラリーと写真家による共同事業。写真を美術品の一種として取り扱い、販売する。顧客と写真家をつなげるためにギャラリーは写真展プロデュースも手掛けている。アートというと何か違う世界の話のようだが、広告に置き換えるとギャラリーが広告代理店で、写真家が制作プロダクションのようなものともいえる。写真展成功のためには両者の綿密なコミュニケーションが必要となる。
商業ギャラリーの特徴は作家を長期的な視点で支援することにある。営業活動の継続を通じて作家のブランディングを行っており、写真展はその一環なのだ。販売が目的なのだが、最初の写真展では大きな成功は求めない。作家が認知されるのには長い時間がかかり、複数の個展を通じて顧客が増えていけばよいというスタンスなのだ。その前提は、作家の継続した作家活動にあることはいうまでもない。
作家の作品市場作りも商業ギャラリーの重要な仕事だ。写真展を開催していない期間でも、取り扱い作家の営業活動を行っている。第三者のコミットにより写真家の市場での作品価値が担保されるのだ。販売価格も、相場、同キャリアの作家との比較からギャラリーが決めることが多い。
また訪れる観客の種類がかなり違うことも知ってほしい。メーカー系ギャラリーは観客動員が多く、アマチュア写真家の割合が高い。商業ギャラリーは観客動員が少なく、コレクターや美術愛好家が観客の中心になる。

職業としての作家を目指すならば、それぞれのギャラリーの違いを意識して目的に合わせて付き合うべきだろう。それは写真家のキャリアの段階によって違ってくると思う。
キャリア初期の人に重要なのは知名度の向上。より多くの人に作品を見てもらい、自分の写真を通じたメッセージが思う通りに伝わるかの検証が必要になる。その一環として、貸しギャラリーでの個展開催、観客が多い企業系ギャラリーや各種写真賞に挑戦して作品露出を増やすことが重要だ。
複数の個展経験があり、写真集が出版されている段階の人なら商業ギャラリーを意識した方がよいだろう。本格的に作家として認められるためには第三者によるブランディングが必要だからだ。

|

« 名作写真誕生の背景は?
"The Contact Sheet"を読み解く
| トップページ | 世にも残酷な写真展?
「Black & White Scape」展 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170909/47706476

この記事へのトラックバック一覧です: 写真ギャラリーの目的別活用法
キャリアにより異なるアプローチ
:

« 名作写真誕生の背景は?
"The Contact Sheet"を読み解く
| トップページ | 世にも残酷な写真展?
「Black & White Scape」展 »