« アート写真市場の現在
注目のオークション・シーズン到来!
| トップページ | 花の写真は売れない?
Meyerowitzのワイルド・フラワーズ »

2010年4月 6日 (火)

アートフェアー東京2010
アート・イベント専門化の予感

Blog

週末に東京国際フォーラムで開催されていた「アートフェアー東京2010」へ行ってきた。 古美術、日本画、洋画、現代アート、アート写真までを一堂に集めて展示販売する日本最大のアート関連のイベントだ。昨年から始まった、開業5年以内の現代アートギャラリーの参加スペースは、「PROJECTS」という名称で同会場内ロビーギャラリーでの開催されていた。今年は昨年より若干少ない138の業者が世界中から参加したとのこと。

主催者によると昨年の来場者が約4万5千人、売り上げ約10億円という。それにしても会期3日で約4万5千人、つまり単純平均で一日約15,000人はすごい数だ。英アート情報誌「The Art Newspaper」が発表した2009年の世界の展覧会来場者ランキングによると、1位は東京国立博物館で開催された「国宝 阿修羅展」。一日の平均入場者数は15,960人だったので、このイベントはほぼ同数になっている。パリ・フォトの昨年の来場者は4日で約4万人。1日約1万人。パリの人は写真はあまり買わないが見るのが大好きだ。彼らの多くはパリ・フォトを一種の写真展覧会と認識しており観客動員数が多いのが有名だ。この数字を見ると、東京人はパリっ子よりもアート鑑賞好きが多いということなのだろう。
今年私が行ったのは土曜日の夕方。受け付けでも並ぶことなく、特に込み合っているという印象はなかった。観客は午後の早い時間に集中するのか、もしかしたら今年は観客の入りが昨年ほどではなかったのかもしれない。

アート写真についてだが、今年も関東の写真専門ギャラリーの顔はなかった。タカ・イシイ・ギャラリー、ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アートなどの現代アートギャラリーが写真中心の展示を行っていた。新進のゼンフォトは「PROJECTS」部門に参加していた。関西で写真を取り扱う、ピクチャー・フォト・スペース、アウト・オブ・プレイス、ザ・サード・ギャラリー・アヤ、MEMなどは例年通り参加。展示作品は、新人が少なく、セカンダリー市場で評価の定まっている作家が多かった。

ある著名な写真コレクターは、イベントでの写真の存在感は昨年よりも低下している、過去に出ていた作品が再展示されていた例も見られた、とコメントしていた。確かに、質の高い写真を見せていた海外ギャラリーが昨年と比べて少なかったので、真摯な写真ファンにはやや期待はずれだったかもしれない。写真は別にして、私が一番すごいと思ったのはギャラリー小柳にあった須田悦弘の花の彫刻。白壁のブースに、1作品だけという究極のミニマリズムの展示だった。ちなみにブース出店料は70万円だ。

このイベントは今年で5年目だという。アート初心者にとって様々な分野のアートを一会場で見れることは大きな魅力だと思う。 また鑑賞するだけでなく、アートが買えることを一般に知らしめたという意味でこのイベントは重要な役割を果たしてきた。最初は見るだけでも、何回か通ううちに自分中で何らかの基準ができてくるものだ。安い小作品でも、とにかく1点買ってみるとアートはより魅力的な存在になるはずだ。ギャラリーは敷居が高いので、入場料を払うアート・イベントは選択肢の多さだけでなく、精神的にゆとりを持って作品を選べる利点があるだろう。
しかし、アートと付き合いが長くなると、しだいに自分の好きな分野がわかってくる。これは買わなくても同じで、多分野のアートが混在するイベントよりも自分好みの分野を集中して見たいと思うようになる。
今年の1月には、15軒の現代アートギャラリーが集合して「G-tokyo 2010」が開催されている。アート先進国の米国では、分野も、規模も様々なアート関連イベントが全国の都市で頻繁に開催されている。 日本ではアートコレクションの中心はまだ古美術、日本画、洋画。大規模なアート・イベントでは売り上げの大きいこの分野を外すことはまだ難しいだろう。今後日本のアートコレクターの世代交代が進むことは間違いない。コレクションの中心が次第に、現代アート、アート写真へと移行していくのではないか。アート関連のイベントも次第に多様化し、より専門的になっていくだろう。主催者もイベント業者から個別カテゴリーの経験が長いディーラー・グループへと変わっていくと思われる。

|

« アート写真市場の現在
注目のオークション・シーズン到来!
| トップページ | 花の写真は売れない?
Meyerowitzのワイルド・フラワーズ »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170909/48015217

この記事へのトラックバック一覧です: アートフェアー東京2010
アート・イベント専門化の予感
:

« アート写真市場の現在
注目のオークション・シーズン到来!
| トップページ | 花の写真は売れない?
Meyerowitzのワイルド・フラワーズ »