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2010年7月13日 (火)

アート写真作家のキャリア形成
あなた作品制作を30年間続けられますか?

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将棋の羽生善治氏は、「才能とは、同じ情熱、気力、モーチベーションを持続することである。以前、私は、才能は一瞬のきらめきだと思っていた。しかし今は、10年とか20年、30年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている」と、自らの著書「決断力」(2005年、角川書店)で語っている。これは、まさにアート写真の作家を目指す人にも当てはまることだと思う。

今の日本には、10年以上に渡って作家活動を継続している人は非常に少ない。キャリア初期に高い志を持って優れたポートフォリオを制作する人はいる。しかし、現実は厳しい。数回の写真展開催くらいでは周りの世界は大きくは変わらない。 最初に熱い思いを持つ人ほど理想と現実のギャップに心が折れてしまうようだ。
これは作家キャリアのどのステージに自分がいるか、明確に把握できてないことが原因ではないかと思う。アマチュアから作家デビューまでのキャリアはだいたい3つのステージに分けられる。自分がどの段階にいるかを明確に知っといれば、そこでのやるべき目標はおのずと明確になる。活動継続には複数のテーマを常に追う姿勢と、短期、中期、長期の具体的な目標設定が重要。それが明確でないと忙しい日常生活に流されてしまう。

まずキャリアの第1ステージ。趣味の写真なら自己満足でよいが、アートとしての写真は、作品が自分の満足とともに、見る人の満足と重なることが必要だ。まず取り組んでほしいのが、自分の伝えたいメッセージがオーディエンスに伝わっているかの検証作業。最初は、自分の想像している通りの反応が見る側からは返ってこないものだ。具体的には個展などを開催して、生の情報に接して行うことになる。この段階では個展はキャリア上の到達点ではない。見る人とのコミュニケーションが出来ているかの確認を行い、悪い点を改善して自作にフィードバックさせる場なのだ。どれだけ見る側から有効な情報を入手できるか、写真家のアイデアが求められる。また感覚や感性のみを優先して制作された作品は見る側からの共感が生まれにくい。ここでは注意が必要だろう。
前回に紹介した、7月末にグランド・オープンするインスタイル・フォトグラフィー・センター(IPC)はそのような作家志望者を支援する目標で設立されている。自分の作品が一人よがりなのか、他の人とつながっているかの検証の場にして欲しい。

写真展現場での情報収集と反省の繰り返しを通して作品の完成度が高まっていく。この段階を経た作品は、もはや自己満足の写真ではなくなっている。次の第2ステージで取り組むのは作品の営業活動。国内外の商業ギャラリーへのアプローチ、写真集化の可能性探求などだ。より広い世界に自分のレベルアップした作品をぶつけていくステージだ。自分の伝えたいメッセージが明確で、人並み以上のビジュアル・センスがあればここまで来るのは決して難しくない。アート業界は常に新しい才能を探しているので継続すればチャンスは必ず訪れる。
そしてキャリアの第3ステージでは、はれて商業ギャラリーの取り扱い作家となって市場にデビューすることになる。実は本当の勝負はここから始まる。それ以降は作家間の長くて厳しい競争に生き残らないといけない。目標は最低でも10年で3回程度の個展開催。羽生善治氏が語っている、同じ情熱、気力、モーチベーションの持続が真に求められるようになるのだ。

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