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2010年7月 6日 (火)

新しいスペースが7月末にオープン!
アート写真の情報発信拠点となるか

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(C)Herbie Yamaguchi

7月下旬に東京広尾に新しいアート写真を展示するスペースのインスタイル・フォトグラフィー・センター(以下、IPC)が誕生する。運営は非営利団体のアート・フォトグラフィー・アソシエイツ・ジャパン(以下、APAJ)が行う。設立発起人S氏のアート写真への熱いパッションに心動かされ、私もボランティアの一人として運営に協力することとなった。

このスペースの特徴は優れたアート写真を見たい人、コレクションしたい人の視点で運営されることだ。日本には様々な写真が氾濫している。思い浮かぶだけでもアマチュア写真、広告写真、インテリア用写真、グラフィック・デザイン系写真、アート写真などがある。写真を展示するギャラリーも様々な種類が乱立している。
つまり、日本にはあまりにも様々な価値観の写真が混在していて、その評価軸が一般人には解り難い状況なのだ。
いざ写真作品を買おうと思っても、欧米のように一貫した基準で値付けが行われていない。アート・フェアーでは、写真史で名前が知られた人よりもキャリアの浅い写真家の作品の方が高額であるという光景も見られる。いくら富裕層でも統一した評価基準が不明で、価格の正当性が判断できないものにお金を使わないだろう。
したがって日本では売れる写真が偏っている。フレーム付きの低価格帯の写真は売れている。また、ブランドが確立して国際的に資産価値が認知された写真家の作品もコレクターの需要がある。しかし、その間の価格帯の作品が上記の理由から売れないのだ。実は欧米では一番大きな需要がある市場なのだ。

IPCの基本構想は、アート写真の要件を満たし、適正価格が付けられた新進作家の作品を、出来るだけ多く市場に紹介していくこと。将来的に、中から優れた作家が一人でも育っていけば良いといったスタンスだ。
具体的には、APAJは、優れたアート写真を制作している人にIPCのスペースを低コストで提供することで活動支援を行う。運営面では、アート写真としての要件を満たしていることを条件として、その審査を行う予定だ。単なる写真発表の場ではなく、写真を通してメッセージを世に問う場として機能することを想定している。
審査といっても、作品が良い悪いの判断は最終的にオーディエンスに委ねるようにする。多種多様な写真表現の中でアート作品としての必要十分条件を満たしているかどうかを仕分けるイメージだ。非営利団体が運営するので、質の高い写真のみを選んで紹介できることが特徴だ。
企画の持ち込みは写真家だけに限らない。優れた写真展のアイデアを持つキュレーターやギャラリスト志望者にも低コストで会場を提供する予定だ。志の高い企画は概して商業的な採算が厳しいものだ。そのような企画の実現に協力する。
中間価格帯の市場育成を目的とするので、当然展示作品は値段をつけて販売も行う。値段設定も写真家のキャリア等を考慮したうえで、欧米の基準を参考に客観的アドバイスを行う予定にしている。

新しいスペースなので最初は知名度の浸透が必要となる。ちょうどハービー・山口氏がIPC設立の趣旨に賛同し、作品を提供してくれることになった。グランド・オープン企画はハービー・山口写真展「街角の天使たち」に決定した。彼のロンドン時代から現在までの約35年のキャリアの中で、女性を撮影したイメージのみをセレクションしてもらった。彼が心が美しいと感じて撮影した女性は、若い女の子だけでなく、様々な年齢、国籍、職業などにおよぶ。全てモノクロ作品約65点を展示する予定だ。
非営利団体の運営なので利益を追求しないことはもちろんだが、写真展には多額の開催経費がかかる。誠に申し訳ないが入場者には300円をご負担いただくことになる。
写真展は7月30日~9月12日(日)まで開催。今回は週末の金、土、日だけのオープンとなる。
期間中には、ハービーズ・カフェ、ポートフォリオ・レビューなどを開催予定。
詳細は以下をご覧ください。
http://www.instylephotocenter.com/index.html

なお、IPCでは近日中に11月以降の会場レンタル希望者の募集を開始予定。出来るだけ早く説明会を開催します。

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