« アート写真ディーラーの団体が設立!
10日から広尾・アート・フォト・マーケット開催
| トップページ | 広尾・アート・フォト・マーケット無事終了
そして2月のフォトグラフィー・ショーへ! »

2010年12月14日 (火)

アート写真が見て・感じて・買える
広尾・アート・フォト・マーケット現在開催中!

12月19日(日)まで開催中の広尾・アート・フォト・マーケット。ブリッツは木戸孝子7点、下元直樹6点を展示している。写真家のプロフィールを簡単に紹介しておこう。

Blog1

木戸は高知出身で現在仙台在住の写真家。フリーランスの写真家を経て、ニューヨークのインターナショナル・センター・オブ・フォトグラフィーで写真を学び、現地でモノクロ・プリンター、スポッターとして活躍した経歴を持つ。今年の夏には、仙台のカロス・ギャラリーで個展を開催している。
経歴が物語るように彼女のモノクロ写真のクオリティーは秀逸だ。しかし、最初に渡されて読んだステーツメントにはやや分かり難い点があった。自分の本音を語っていないという印象だった。作品のレビューは撮影者のカウンセリングにかなり近いものだと私は思っている。写真家が何を考えているか、どんな人間なのかがわからないとポートフォリオの意味は決して理解できない。その前提として、まず本人の客観的な現状分析が必要となる。木戸の場合、作品背景を聞いている過程で、この人はいったんは絶望した人で、そこから這い上がってきたのだと分かった。感情に負けてしまう人は道を誤ることにもなりかねない。彼女を救ったのが写真を撮影する行為だったのだと思う。つらい人生なのだが、アーティストの視点を持って世の中に対峙すると、何気ないシーンの中にハッとするような美しい状況がみつかることを彼女は発見した。"The Ordinary Unseen"は、そんな中から生まれた。一瞬、ただ普通の綺麗なモノクロ写真だが、実はとてもポジティブな作品群なのだ。以上を踏まえてステーツメント書き直してもらったら、とても素直な文章が出来上がってきた。このような過程で今回展示することを決めた。ぜひ会場で現物に触れてほしい。

時代的背景は多分こんな感じだろう。彼女はちょうどアラフォー世代。若い時はまだバブル経済の残り香があった時代だ。この世代の人は大人たちに、お前には果てしない可能性がある、好きなように、自由に人生を選べばいい、と言われてきた。世の中には果てしない選択肢が広がっているかのように考えられていた。しかし、その後の長期の不況で、それらの考えの大前提として経済成長があったのが明らかになった。いまや、人生の選択肢などそんなにないことを多くの人が実体験から感じている。不況下に自由に生きることは下手すると社会の最下層に転落するリスクを抱えている。従って今の若者は極端な安定志向なのだ。自分の人生はこんなはずではなかった、と木戸の世代の多くの人は考えているだろう。
しかし、女性は強いと思う。そのようなネガティブな気分を写真撮影によりポジティブに変えているのだ。実は、彼女と同じような姿勢で世の中に対峙している女性写真家が私の周りに何人かいる。機会があれば、彼女たちのグループ展を企画してみたいと考えている。同じようなメンタリティーを持った同世代の人たちは必ずや共感すると思う。

下元直樹は仙台出身の写真家。彼は、アート・フォト・サイトが行っているワークショップ、ファイン・アート・フォトグラファー講座の出身だ。9月行った日本の伝統的な美意識を作品に取り込んでいる日本人写真家7人によるグループ展「Imperfect Vision」にもセレクションされている。
今回も、「取り残された記憶」シリーズから出品。これは下元が住んでいた東北地方の寂れた漁村を撮影したドキュメント作品。展示作品は、青森、気仙沼、新潟、相馬、釜石が舞台になっている。朽ち果て、錆びた漁村に残る住宅、店舗、倉庫、工場跡の壁面のクローズアップに美を見出している。若者が街を去り、人口が減少し、経済が疲弊した地方部。日本の経済成長の陰の部分にフィーカスした作品なのだが、グリッド状に展示されたタイポロジー的作品は、グラフィカルにきれいな上、カラフルでポップな色彩も魅力的だ。アーロン・シスキンのカラー版のようにも見える。朽ち果てた壁面などのクローズアップを精緻に撮影する写真家は数多い。しかし撮影コンセプトが明快に提示されないと、カメラの性能検査とプリントのクオリティーだけの作品に陥ってしまうのだ。
彼の作品はインクジェットにより制作されている。採用している局紙という用紙とのマッチングがぴったり。デジタル写真特有のモノとしての軽さがない。ぜひ現物をご覧いただきたい。

Blog2

広尾・アート・フォト・マーケットはインスタイル・フォトグラフィー・センターで今月19日まで開催中。オープンは1時~6時。10万円以下の価格の中堅エマージング・アーティスト中心のアート・フェアー。
P.G.I、フォトクラシック、MEM、ブリッツ、G/Pギャラリー、エモン・フォト・ギャラリーの国内6業者が持ち寄った約60点以上の作品が見て、買えるイベントだ。

私は、期間中はだいたい会場にいる予定です。見つけたらぜひ声をかけてください!http://www.instylephotocenter.com/exhibition/ce.html

|

« アート写真ディーラーの団体が設立!
10日から広尾・アート・フォト・マーケット開催
| トップページ | 広尾・アート・フォト・マーケット無事終了
そして2月のフォトグラフィー・ショーへ! »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170909/50300942

この記事へのトラックバック一覧です: アート写真が見て・感じて・買える
広尾・アート・フォト・マーケット現在開催中!
:

« アート写真ディーラーの団体が設立!
10日から広尾・アート・フォト・マーケット開催
| トップページ | 広尾・アート・フォト・マーケット無事終了
そして2月のフォトグラフィー・ショーへ! »