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2011年3月 8日 (火)

日本市場で今求められるフォトフェアーとは?
ザ・JPADS・ フォトグラフィー・ショー

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Blitz Gallery の展示風景

ザ・JPADS・ フォトグラフィー・ショーが無事に終了した。
ご来場いただいた皆様ありがとうございました!

今回のフォトフェアはいくつかの特徴があった。まず、販売業者が主催し運営したこと。そして徹底的な低予算のテーブル・トップ・フェアだったことだ。

日本のアートフェアは一種の展覧会化している。主催するのはイベント業者。彼らはできるだけフェアを豪華にして多くを集客して利益を上げようとしている。見栄えの良い会場を借りて、ブースを作りつけ、多額のプロモーション費用をかける。そのためギャラリーの参加料は高額だ。これは、主催者や来場者には都合が良いだろう。しかし、作品があまり売れない写真分野では参加ディーラーにあまりメリットがない。広告宣伝としてもコストが高すぎるだろう。

日本でアートフェアが急増したのはここ3~4年くらいだ。多くのディーラーが幻想を持っていたから高い費用を払って参加してきた。不況で店頭での売り上げはどこでも低下傾向だ。大規模なフェアに出展すれば、多くの人が来て新しい顧客が開拓でき、展示作品を気に入ったからと購入する人がいるはずだという期待があった。しかし、写真に関してはそのようなことは現実にはほとんど起きないのだ。
要はコストをかけたイベントが正常に機能するまでに市場が発展しきれていない、まだ黎明期だということ。それはどのような意味かと言うと、日本のアート写真市場にはギャラリーの店頭で長年活躍しているプライマリー作家の蓄積がほとんどないということだ。厳密に言うと、ただ作家活動を続けているのではなく、作品が実際に市場で継続的に売れ続けている作家という意味だ。従って日本にはアート写真のセカンダリー市場はほとんど存在しない状況なのだ。
これはギャラリーの収入源となる中間価格帯の作品に厚みがないということ。結果的に、各種フェアーで展示されるのは、評価の定まっていない新人、中堅と海外の比較的高額な作家が中心になる。多くの日本人はアート写真の相場観を持たないので高額商品は売り難い。仮に売れても海外作家のセカンダリーは値段勝負なので、よほど仕入価格が安い場合を除き利益は限られている。安い新人が多少売れても高額なフェア参加料や経費を回収することは難しいのだ。

以上から、いま日本でフォトフェアを開催する主要な目的は市場拡大のための顧客への啓蒙活動を行うことなのだ。今回のJPADSのフォトフェアはそのような前提に立って企画された。つまり、短期的な結果はともかく、写真がアート作品の一部として様々な値段がついて売られている状況や、数多くの選択肢があり、全て買えるというワクワク感をを多くのコレクター予備軍の人たちに体験してほしいのだ。
プロモーションに費用をかけて観客を増やすよりも、フェア内容を充実させてコレクター予備軍を少しずつでも増やす方が重要だと判断したわけだ。とにかく売れても売れなくても継続しなければならない。ちなみに米国のAIPADのフォトフェアは約30年、パリフォトも約15年の歴史があるのだ。 日本では多額の売り上げは期待できないので、続けるためにはできるだけ参加者の費用を下げることが必要になる。業者主催の徹底的な低予算のテーブル・トップ・フェアは必然なのだ。費用をかけた大仰なイベントは市場が十分に成長した後に行えばよい。

さて、結果はどうだったかというと、4日間で400名を超える人が来場してくれた。販売に関してはあまり期待していなかったのだが、ダイアン・アーバス、ジョエル・ピーター・ウィトキン、ジャンルー・シーフ、オリビア・パーカー、マイケル・デウィック、ハービー・山口などは引き合いがかなりあったようで、多くは商談が成立したそうだ。手頃な値段のティンタイプとアンブロタイプは良く売れた。実は、フェアは顧客との商談が始まる場でもあることが多い。多くのフェアで売り上げ報告がないのは、実際の売買が成立するのはフェア終了後が多いからなのだ。

さて次回のザ・JPADS・ フォトグラフィー・ショーは、今秋に予定している。今回の経験と数多くの反省点を生かして、より充実したフォトフェアへと進化させたい。

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