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2011年8月23日 (火)

「ART NAGOYA 2011」
猛暑の名古屋の熱いアートフェア

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8月5から7日にかけてウエスティンナゴヤキャッスルで開催された名古屋のアートフェアに参加してきた。
同ホテルは名古屋では最も伝統と格式が高い場所とのことだ。名前通りに名古屋城の正面にあり、客室から素晴らしいキャッスル・ヴューを楽しむことが出来る。スポンサーも、ジャガー・ランドローバー・ジャパンやぺルノ・リカール・ジャパンなどの高級品を扱う企業。主催者の狙いは、高級ホテルで中部圏の富裕層を相手にアートを紹介するという感じだ。
このホテルは東京のホテル・オークラのように交通の便が悪いところにあるのが特徴。自家用車かタクシーを利用するのが一般的で、地下鉄の浅間町駅から歩くと15分くらいもかかる。本当に目的意識がないと暑い夏の日に行こうとは思わないだろう。多くのフェアは観客動員数を多くして入場料収入で利益を上げるビジネスモデル。交通の便のよい場所での開催が肝になる。本フェアも商業地の栄、伏見、錦あたりのホテルで開催する選択肢もあったと思う。それをあえて不便だがステイタスの高いホテルで開催したことからは、主催者の"アートに本当に興味を持つ人に来てほしい"というポリシーが明快に感じられる。参加ギャラリーにとって、鑑賞目的の人が多いと本当に買いたいお客様との接客が出来なくなることがある。本フェアの趣旨には100%賛成だ。主催者によると期間中約1870名もの人が来場してくれたそうだ。酷暑の中でも中部圏のアートに興味のある人はちゃんと来てくれるのだ。私ども関連では、名古屋に引っ越したお客様や、ワークショップ参加者との再会があったのが収穫だった。

しかし来場者がコレクション購入までの目的意識を持っていたかは別問題だろう。色々なところで書いているように、日本のアート・フェアは作品を鑑賞するイベントという意識を持つ人が多い。今回も、多くの来場者は鑑賞目的だった印象だ。もしかしたら高級デパートの上客向けのアートの特別鑑賞会という意識の人が多かったのかもしれない。
とくに私どもが展示した写真関連作品に関しては、まだ多くの人に鑑賞やコレクションの対象であることが認識されていないようだった。実は、写真ファンは現代アートに興味のない人が多い。今回は現代アートのフェアと銘打っていたので写真ファンはかなり少なかったのだと思う。もし来年開催するのであれば、写真分野のギャラリーをまとめるなどのアイデアを考えてほしい。近くの場所で写真だけのサテライト・フェアを行ってもよいだろう。そうすれば、写真ファンの集客につながると思う。写真関連のスポンサー企業候補は数多いのではないか。

さて今回は初めてのフェアだったが、主催者の運営オペレーションや広報活動は非常によかったと思う。搬入、搬出もスムーズにできた、観客動員やマスコミの反応も良好だった。しかし、一人前のアートフェアを目指す時に重要なのは、参加ギャラリーや展示作品のクオリティー維持なのだ。ハード面だけでなく、ソフト面の運営オペレーション力が問われるようになる。
海外の有名フェアの場合、事前にギャラリーの展示作品やテーマを審査する場合が多い。 新規のフェアは、最初は珍しいからギャラリーや顧客を集めることができるだろう。しかし、フェアの目玉作品や何らかのテーマ性がなければ話題性の維持や更なる集客は期待できない。ギャラリー側としても、多額の経費をかけている以上、ある程度の売り上げがあり、新規客の開拓が期待できなければ継続して参加しないだろう。景気見通しが悪い中、もはや広告宣伝目的で参加できる余裕があるギャラリーは数少ないのだ。
長きにわたって継続できるかどうかは、主催者の高い企画能力が求められるということなのだ。高いクオリティーが担保されていればフェアはブランド化する、良質なコレクターが集まり、売り上げも伸びるのだ。これが出来ないと、継続できてもよりローカル色が強い低価格のインテリア・アートの新作披露イベントになってしまう。もちろん地元密着のこのような選択肢もあると思う。

本フェアは、上記のように富裕層相手の高級路線を意識している。器やスポンサーは立派だったが、展示作品のレベルにはかなりばらつきがあったと感じた。現代アートをあまり知らないような高齢の来場者が、展示会場の窓越しの名古屋城の眺めが一番良かったと言っていたのが印象的だった。歴史や時代とのつながりが感じられないアート作品は作者の自己満足になるリスクがある。アートの門外漢の人の素直な意見は案外ポイントをついていると感じた。

主催者や実行委員の皆様、たいへんお疲れ様でした。今回の貴重な経験を生かして、来年以降に内容をよりレベルアップしたフェアを開催してください。酷暑の中、来場してくれた多くのお客様に感謝します。

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