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2011年11月 1日 (火)

写真展のプロモーション
アート・ジャーナリストの仕事

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次回、12月に開催予定のマイケル・デウイック(Michael Dweck)「Habana Libre」展。これは9月に米国サンフランシスコから始まる世界巡回展の東京ショーとして行われる。今回は写真家からのていねいな情報提供により、日本にいながら新作写真集や写真展がアート・ジャーナリストにどのように取り扱われるかがフォローできた。欧米市場の作家のメッセージ発信では、アート系ジャーナリストが非常に重要な役割を果たしているのがよくわかった。
その背景には、アートを愛するオーディエンスが数多くいて、美術館やギャラリーの展覧会、アートフェア、オークション、新刊アートブック、アートのトレンド、アーティスト・インタビューなど幅広いアート情報への需要があるからだ。アート業界の一つのカテゴリーとしてのビジネスが成立しているのだ。

ちなみにマイケル・デウイックの新作の場合、写真集「Habana Libre」の米国出版は10月、西海岸の写真展は9月スタートが予定されていた。夏くらいから紹介記事が出てくるようになる。ここで活躍するのが出版社の広報だ。内容と見どころをコンパクトにまとめたプレス向けリリースを配布するととともに、有力者には写真集の見本を送付している。
私どもはかなり早い段階で、写真展の日程決定を迫られた。リリースに巡回展予定を掲載するためだ。まず7月下旬には、早くもニューヨーク・タイムスに特集記事が掲載された。すぐにウェブにも転載される。その後目立ったところでは、コンデナスト社のヴァニティー・フェアーや、ニューズウィーク・デイリー・ビースト社のウェブのニュース・サイトであるザ・デイリー・ビーストに特集が掲載されている。さらに、写真展開始直前には高級ライフスタイル誌ホワイトウォール・マガジンに作家のロング・インタビューが掲載されるに至っている。
たぶん、それら一連の報道を通してデウイックのファンは彼の新プロジェクトを知ることになったと思う。もちろん、紹介してもらうには作品が魅力的であることが前提だ。今回はアメリカ人に関心の高いキューバのシークレットライフがテーマである。マスコミが興味を示さないわけがない。

日本にいると、アート・ジャーナリストの存在を意識することはあまりない。特に写真分野に関してはその感じが強い。専門誌でも、カメラ、レンズ、プリンターの機能解説、技術分析などが中心。あとは写真展の開催情報の紹介だ。残念だが一般のメディアでアートとして写真を扱ってくれるところはほとんど存在しないと思う。
作品紹介と解説記事を書くには、専門分野での経験が必要だろう。しかし新聞以外のアート担当はアート分野の専門家でない場合が多い。また多くは欧米的な解説ではなく自分のパーソナルな感想文になっている。美術館のキュレーターも同じような傾向が強い。その背景には、アート周辺業務に携わる人はアーティスト志向が強いからだと考えている。実際、写真家からは、"小説家やデザイナーなど、違う分野の人の方が面白い視点の文章を書く"という話をよく聞く。日本では、外部ジャーナリストたちによる作品アピールはあまり機能しないのだ。
そのような状況では、写真家本人と写真展を企画するギャラリーの情報発信力が非常に重要になると考えている。実際、欧米的なジャーナリストの役割を果たしているのは、写真家やギャラリストの場合が多い。普段からの地味なメッセージの発信の積み重ねが、写真集刊行、写真展開催の時に威力を発するのだ。

マイケル・デウイック「Habana Libre」の東京展は、12月2日から開催されます。
サイン入り写真集、プリント付き写真集も限定数だけ販売される予定です。
・プレスリリース
http://www.artphoto-site.com/inf_press_52.pdf
・プレス用プリント
http://www.artphoto-site.com/inf_press_52image.pdf

なお12月下旬に開催される、Jpads・フォトグラフィー・ショーのブースでは、マイケル・デウイックの「The End:Montauk NY」、「Mermaids」の集中展示を行う予定。こちらも楽しみにしていてください!

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