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2012年2月21日 (火)

新人アート写真家の登竜門になるか?
The Emerging Photography Artist 2012
(新進気鋭のアート写真家展)

Blog

2月21日~3月4日まで、日本フォトグラフィー・アート・ディラーズ・ソサイエティー(JPADS)主催で、作家を目指す新人発掘を目的とするグループ展、「ザ・エマージング・フォトグラフィー・アーティスト2012年(新進気鋭のアート写真家展)」が広尾のIPCで開催される。これはアート写真を販売するディーラーとともに、教育者、ワークショップ主宰者などが新人を推薦する企画。本格的個展はまだできないが将来性があると評価された約16名が参加する。

これは新人が作家としてデビューする仕組みを構築しようとする実験的試みだ。企画には企業スポンサーはない。運営はすべてボランティアだ。正直にいうと、運営に関わるJPADSのメンバーは、人数が多く調整が面倒なグループ展業務をボランティアで行う余裕はない。しかし、ギャラリーはいままで自分たちの仕事の忙しさを言い訳に新人を育てる仕事を行ってこなかった。そして、そのような企画は企業、広告代理店、イベント業者任せにして、不平不満だけを言ってきた。その結果が、いまの有力なアート系作家不在の国内マーケットだ。ここ10年くらいは、現代美術家が写真メディアで表現するのが当たり前になり、写真家でアートに取り組む人はあまり見かけなくなった。一方で、国内外のインテリア向けに商品開発する人たちが目立っている状況だ。
誰かが身を削ってでも新人育成を行わないと、自分たちの存在自体が危ういというJPADSメンバーの危機感が今イベントを実現させた。開催した記録を残すことが重要なので、無理をしてカタログも制作した。

いままでにJPADS企画のフォトフェアに参加したギャラリー、ディーラー全員に作家推薦を依頼した。しかし残念ながら写真家を推薦したのは、フォトクラシックとブリッツのみだった。フォトクラシックは盛んにワークショップを開催している。また、ブリッツも約10年に渡ってファイン・アート・フォトグラファー講座を開催している。その他のギャラリーは、まだ新人発掘の仕組みや準備が整っていないようだ。新人を紹介するイベントが出来れば状況は変わると思う。今後に期待したい。

今回は業者以外に企画に賛同してくれた人たちがいた。各大学の教育者の方々、フリーキュレーター、ワークショップ主宰者たちだ。欧米では、学生やアマチュアたちの写真キャリアの可能性の一つにアート分野がある。日本でこの分野での展開の可能性が少ないことに疑問を持つ人たちが反応してくれた。またその趣旨に賛同してくれた、インスタイル・フォトグラフィー・センター、デザイナーの合田祥之氏の協力なしには実現できなかった。彼らの応援に心から感謝したい。

本展は、写真コレクションに興味ある人には有力新人の作品を先物買いするチャンスでもある。新人なので販売価格は市場の最低レベルの場合が多い。アートはバーゲンセールができないので、最初は低価格からスタートして売れれば値上げすればよいという考えだ。もしかしたら、将来のスーパースターが参加者の中から生まれるかもしれない、というのがセールストークだ。JPADSは毎年、有名作品を展示販売するフォトフェア、“ザJPADSフォトグラフィー・ショー”を開催している。これからは、新人、若手向けの“The Emerging Photography Artist”もレギュラー化していきたい。

「ザ・エマージング・フォトグラフィー・アーティスト2012年(新進気鋭のアート写真家展)」には、圓井 義典(東京工芸大学)、高橋 則英(日本大学芸術学部)、北山 由紀雄(岡山県立大学)、松本 路子(写真家、ワークショップ主宰)、山崎 信(フォトクラシック)、福川 芳郎(ブリッツ・ギャラリー)齋藤 俊介(キュレーター)が推薦した以下の16名が参加。
小林 信子、鈴木 ゆりあ、イワナミ クミコ、新居 康子、酒井 成美、
西村 満、相星 哲也、川島 崇志、岸 剛史、安達 完恭、石川 和人、
市川 健太、青木 大、佐藤 寧、齋藤 安佐子、高畑 彩。
写真コレクションを始めたい人、キュレーターを目指す人、作家を目指す人はぜひご来場ください!

「ザ・エマージング・フォトグラフィー・アーティスト2012年(新進気鋭のアート写真家展)」
は、2月21日~3月4日まで開催。
会場は東京広尾のインスタイル・フォトグラフィー・センター。
http://www.instylephotocenter.com/Information.html
オープン時間は午後1時~6時、休館月曜。
週末にはトークイベントも開催予定です。

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