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2012年10月 9日 (火)

国際的なフォト・フェアに急成長
東京フォト2012・レビュー

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今年の東京フォトは予想外に高いクオリティーの国際的なフォトフェアーだった。昨年とは全くの別物といっても過言でないと思う。海外ギャラリーが参加約30のうち14を占めていたのが大きな特徴。同じアジアのフォトフェアと比較しても、地元業者の参加がほとんどでローカル色が強い韓国のソウルフォトとは対照的だった。

今回は、国際市場で取引されているセカンダリー、プライマリー作品の販売を本業とするギャラリー、ディーラーの参加が中心だった。欧米の業者は以下のような優れた作品を多数出品していた。
スティーブン・ショアー、マーティン・パー、トッド・ハイド、E. J. ベロック、ギイ・ブルダン、ハーブ・リッツ、レニー・リーフェンシュタール、イネス・ヴァン・ラムスウィールド&ヴィノード・ マタディン、サラ・ムーン、ソール・ライター、リゼット・モデル、マイケル・ケンナ、ライアン・マッギンレイ、アウグスト・サンダー、スティーブ・シャピーロ、パオロ・ロベルシ、ウィーリー・ロニス、ベルナール・フォーコン、エドガー・マーティンス、マーティン・ショーラーなどだ。

国内ギャラリーも、市場性はともかく日本写真史で知られる作家の展示が中心だった。
昨年までは、企業系、イベント業者系ギャラリーや広告写真家の作品を展示するプロジェクトなどによるブースも見られた。コンテンツがやや弱い作品も散見された。今回は国内写真家による現代アート風作品の展示が少なかったことも良印象だった。長引く不況の中、コレクターは資産価値がある作品しか購入しなくなっている。ディーラーも売れない作品の展示を多数行う余裕もない。今フェアでも世界的なクオリティー追求の傾向が明らかになったと思う。

セミナーとして海外のコレクター、ディーラーのトークイベントも多数開催された。残念ながら接客に忙しく全部の人の話しは聞けなかった。コレクターでアート・フォト・サイトで写真集を紹介したビル・ハント氏の話には興味があったのだが・・・。
ニューヨークの有力ギャリスト、ジャームス・ダンジンガーとベルリンのカメラ・ワークのギャラリストのウテ・ハーティエンの「ヨーロッパとアメリカの写真市場展望」はとても参考になった。参加者はアート写真作家を目指す人にとってアートギャラリーが何を考えているかが理解できたのではないだろうか。かれらは写真史を念頭に置いてオリジナルな表現を探しているのだ。ただし、彼らは業界の世界的プロファッショナル。観客がアートの色々な考え方や写真史を理解していることを前提に話していた。日本ではそれらの知識を知らない人が多い。やや専門家向けの内容だったかもしれない。

参加者の売り上げにはかなりばらつきがあったようだ。海外ギャラリーは欧州系は売れていたものの、米国系は低調だった印象だ。全体的には資産価値が認知されている作品が売れていた。コレクター以外にも、美術館による購入や業者間の購入も散見された。Jpadsは広告宣伝を主目的に参加したのだが、予想外に多くの作品が売れた。全くの偶然なのだが、Jpadsが考えたセカンダリー中心の出品がフェアの方向とかなり重なった。上記のようにリーズナブルに値付けされていた有名写真家の作品の人気が高かった。また新規カスタマーとの出会いがあったことは予想外の嬉しい成果だった。

ブースに来てくれた人からはできるだけフェアの意見、感想を聞くように努力した。日本には全く存在しないアート写真の販売の場があることを実体験できたというアマチュア写真家の声が多数聞かれた。また広告、ファッション系の写真家には写真をアート作品として売る行為の意味が実感できるフェアだったと思う。実力差に愕然としたという素直な意見も聞かれた。作家を目指す中堅写真家にとって、自作がでていないフェアに来るのはつらいと思う。しかし、そこでの様々な実体験は必ずや自作のレベルアップにつながると思う。全ては正しい現状認識から始まるのだ。

今後は、日本人のプライマリー写真家中心の各種フェアと、国際的なセカンダリー作品中心の取り扱いを行う東京フォトとの棲み分けが起こってくる可能性が高いと感じた。前者は例えば東京フロント・ラインなどだ。Jpads主催のクリスマス・フォト・フェアもプライマリー作家中心の展示を考えている。 21世紀になり現代アート系写真の登場とともに、様々な写真が混在してカオス化していた国内マーケット。やっとフェア主導の展示作品の整理整頓が行われる兆しが感じられる。マーケットが最初にあってギャラリーがその流れに続くのでも良いと思う。

日本は世界第3位の経済大国。市場の可能性を信じてアート・フェアに参加する海外業者は後を絶たない。しかし春のアートフェア東京などの場合、期待に反して市場が薄いことに失望して1年で参加を止める業者が多いと聞く。円高とはいえフォト・フェアのブース代は欧米の主要フェアより比較的安い。彼らにはアジアでの広告宣伝と割り切って参加を継続してもらいたい。
今回の東京フォトは主催者がずっと描いていた国際的なフォトフェアのイメージにかなり近かったと思う。主催者の地道な努力の継続と実行力に敬意を表したい。また今回のフェアの内容充実が偶然だったと言われないように、実行委員会の更なる営業活動にも期待したい。

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