« 2014年の展示予定など
ブライアン・ダフィー展
第3回新進気鋭のアート写真家展など
| トップページ | ザビーヌ ビガール写真展
「TIMEQUAKES 時のかさなり」 »

2014年1月21日 (火)

ブライアン・ダフィー写真展
見どころの解説

Blog
"Queen, 1965"ⓒ Duffy Archive 禁無断転載

ブライアン・ダフィー(1933-2010)は、日本ではほとんど知られいないが、英国の60年代のいわゆるスィンギング・ロンドン時代に活躍したファッション写真家。
当時の英国には3人の有名な若手写真家がいた。彼はデビット・ベイリー、テレス・ドノヴァンとともに時代の最先端を走るロックスター並みの写真家だった。3人のうち、ベイリーは女優のカトリーヌ・ドヌーブと結婚していたことから覚えている人が多いだろう。

3人はファッション写真に新しい風を吹かせたことで知られる。それまで主流だったスタジオでのファッション、ポートレートの撮影を拒否し、ドキュメント的な手法を取り入れてストリートで撮影を行った。また彼らは南ロンドンの労働者階級出身で、当時のロンドンの、ギャング、モッズ、ロッカーズらをヒントにし、いまストリートで起きている新しい生き方が反映されたポーズを取り入れていたことも特徴。ストリートの状況が反映された方が見る側はファッション写真によりリアリティーを感じ、自己を投影しやすい。彼らはいまでは当たり前のストリートのファッション・フォトの先駆者だったのだ。
当時のファッション写真界の重鎮、ノーマン・パーキンソン(1913-1990)は3人を「The Black Trinity(不吉な3人組)」と呼んで恐れたそうだ。また彼らの写真は、当時米国で活躍していたリチャード・アヴェドン以上に大胆で斬新だったと言われている。

ダフィーはとてもアート志向が強い人だったと思う。彼は1979年に写真を止めてしまい、ネガ類を裏庭で燃やしてしまった。当時はやっと写真がアートの一分野と認められ始めた時期。作り物のファッション写真はまだアートと認められていなかった。ファッションが巨大ビジネス化し、クライエントの厳しい要求と自由な表現が次第に自己規制される中、多くの優れたファッション写真家が自分の表現の未来に絶望していった。このころには、ギイ・ブルダンやポール・ヒメールなども同様の理由でファッション写真から遠ざかっていく。
しかし21世紀になり、ファッションがアートと認められるようになり、市場では20世紀に活躍した人たちの再評価の動きが活発化する。
ダフィーもその流れの中で今度はアーティストとして注目されるようになる。息子のクリス氏が中心になり全仕事をまとめた写真集が刊行され、デビット・ベイリー、テレス・ドノヴァンに次ぐ、忘れ去られた当時の第3の男(ザ・サード・マン)として新たに紹介されたのだ。2010年に本人は亡くなるが、その後も全世界で写真展が開催される。
今回のブリッツの展示はオーストラリアで開催された写真展の作品が巡回してきたものだ。そして、2013年にロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館で開催されたボウイの回顧展「デビット・ボウイ・イズ」のメインヴィジュアルに代表作「アラジンセイン」のアザーカットが使われ、ダフィー人気が本格的にブレイクする。アーカイブの責任者クリス氏は世界中からの企画オファーで多忙を極めているそうだ。

彼の代表作は、デビット・ボウイのLPジャケットのシリーズだろう。「アラジンセイン」(1973年)、「ロジャー」(1979年)、「スケアリー・モンスター」(1980年)などがある。ボウイによるグラム・ロックのSF的、宇宙的なファッションやメークがダフィーのヴィジュアルを通じて世の中に伝えられたのだ。スィンギング・ロンドン期は、ファッションの主流が上流階級のオートクチュールから、ストリート発、若者発の一般消費者に変化してきた時代。オートクチュールもモッズ、ヒッピー的なストリートの流行を取り入れていく。本展ではその状況がよく反映された当時のファッションを見ることが出来る。
またダフィーのファッション写真で気付くのはクルマを取り込んでいるものが多いこと。 写真集表紙はアストン・マーティン、その他にジャガーEタイプ、メルセデス(縦目)、 アルファスッド、オースティン・ミニ、フィレンツェでのシュートにはスクーターのヴェスパも写っている。 当時はクルマはまだ憧れに対象で、ラグジュアリーなライフスタイルや自由な生き方といま以上に密接に関係していたことがよくわかる。

本展では、ファッション、デビット・ボウイ、ポートレートを通して1960年代から1970年代の気分と雰囲気が強く感じられるだろう。当時を知っている世代には懐かしく、また知らない若い世代には新鮮に感じられる写真展になっている。
ぜひお誘い合わせの上でお出でください!

・ブライアン・ダフィー写真展
 「DUFFY...PHOTOGRAPHER」
 ブリッツ・ギャラリー 
 1月24日~3月29日
 1時~6時、日月休廊
http://blitz-gallery.com/

|

« 2014年の展示予定など
ブライアン・ダフィー展
第3回新進気鋭のアート写真家展など
| トップページ | ザビーヌ ビガール写真展
「TIMEQUAKES 時のかさなり」 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170909/58985488

この記事へのトラックバック一覧です: ブライアン・ダフィー写真展
見どころの解説
:

« 2014年の展示予定など
ブライアン・ダフィー展
第3回新進気鋭のアート写真家展など
| トップページ | ザビーヌ ビガール写真展
「TIMEQUAKES 時のかさなり」 »