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2014年7月22日 (火)

2014年後半の予定
フォトブックの展示、トミオ・セイケ
「West Pier」展など。

○「アート写真集ベストセレクション101」展
8月2日まで開催中
休廊 7月28日(月)、日曜もオープン。1時~6時

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本展は「アート写真集ベストセレクション101」(玄光社刊)の刊行を記念して行うフォトブック中心の写真展。同書は、2008年くらいまでのミニブームとくらべ売り上げが低迷している写真集市場に喝を入れるべく企画された。リーマンショック後の日本のアート写真市場では、オリジナル・プリントの売り上げがずっと低迷している。写真集人気もプリント市場の影響を受けているわけだ。しかし、アート写真は現代アートなどと比べては特に大きなブームになったわけではない。従来の小規模な市場に逆戻りしたともいえるだろう。

いま海外のアート写真市場の売り上げが、金融緩和に伴うアート・ブーム(バブル?)に引きずられて急回復している。しかし、すべての分野が売れているのではない。調子が良いのは現代アート作品と価格帯が重なる高額作品だけ。低価格帯のアート写真の動きは相変わらず冴えないのだ。
しかし、低価格帯のなかで唯一好調なのが写真集の中のフォトブックと呼ばれている分野。それも20世紀の歴史的なレアブックというよりも、 21世紀以降に発売されたものの人気が非常に高いのだ。それらは最初の段階からアート写真の新しい表現形態として企画制作されているのが特徴。市場でも、フォトブックは写真を集めただけの本ではなく一種のアート写真のマルチプルなのだと理解されてコレクションされている。「アート写真集ベストセレクション101」は、このフォトブックに注目して、その定義やコレクション方法を明らかにした初めての本なのだ。
フォトブックの大きな魅力はオリジナルプリントと比べて値段が安いことだろう。本としては高価だが、アート写真作品として考えるととてもリーズナブル。そしてオリジナルプリントと同様に資産価値ももち、人気フォトブックの価値は上昇するのだ。いままで日本で注目されなかったのは、コレクション初心者向けの指南書がなかったことに尽きるだろう。「アート写真集ベストセレクション101」がその役割を果たしてくれることに期待したい。
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本展は、その刊行を記念して、収録フォトブックを多数展示するイベント。フォトブックはリアルに存在するもので情報ではない。ぜひ現物を見て、リアルの大きさ、厚さ、質感などを感じ取って欲しいと考えた企画した。収録されているフォトブック、レアブックとともに、壁面には、リチャード・アヴェドン、ブルース・ウェバー、ジャンルー・シーフ、ピーター・リンドバーク、テリ・ワイフェンバック、マイケル・デウィック、ヘルムート・ニュートン、アンセル・アダムス、デボラ・ターバヴィル、アジェなどのオリジナル・プリントも展示されている。

作家を目指す写真家にもフォトブック・コレクションはおすすめだ。写真はいまや大きなくくりの現代アートの一分野になっている。そこで重要なのは、時代性を持った斬新のアイデアなのだ。実はフォトブックが提示しているのは写真家・アーティストが生みの苦しみの中から紡ぎだした自らの視点なのだ。それを読み解き、分析する作業は若手写真家のテーマ探しに必ず役に立つだろう。自分がどんな系統の写真家・アーティストの影響を受けているかを知るのは作品制作の出発点なのだ。
なお8月3日(日)には同書購入者向けのトーク・イベント「フォトブック・コレクションへの誘い」を開催!
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○トミオ・セイケ写真展
「West Pier」を開催!

今秋はトミオ・セイケ写真展「West Pier」を開催する。同シリーズの一部が展示されたことがあるが、本格展示は今回が初めてとなる。ウエスト・ピアは、セイケが居を構える英国イングランド南東部のブライトンにある19世紀に建築された観光目的の巨大な桟橋。そこにはコンサートホールや各種の娯楽施設があり、長きにわたり観光名所として知られていた。しかし、1975年に施設老朽化のために閉鎖され、その後ずっと放置される。2002年のハリケーンの影響で施設の一部が破壊。度重なる原因不明の火災と悪天候により崩壊が進行し、いまや一部の鉄骨の骨組みを残すだけの存在になっている。
彼は、2006年~2009年頃にかけてウエスト・ピアが朽ち果てていく様子を撮影。観光名所の桟橋は多くの人々の欲やエゴの象徴ともいえる存在だった。彼は自然の大きな力により、この地でかつて大きな存在感を誇っていたウエスト・ピアが次第に朽ち果てていく過程に引き込まれていったのだ。
セイケといえばライカ・カメラだろう。しかし本作で彼は1930年代に制作された折り畳み式蛇腹カメラのスーパーイコンタで撮影している。作品はゼラチン・シルバー・プリントで制作。興味深いのは、一部作品がデジタル・カメラのエプソンR-D1sで撮影され、デジタルデータからゼラチン・シルバー・プリントが制作されていることだ。
セイケは最近デジタルカメラによる作品の可能性を探求している。今回はデジカメで撮影して、ゼラチン・シルバー・プリントで作品制作という、新しい組み合わせに挑戦している。

「West Pier」の日程は現在調整中です。決まりましたらブリッツのウェブサイトで公開します。

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