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2015年1月20日 (火)

ギスバート・ハイネコート写真展
「70’s Rock Photography
(70’s ロック・フォトグラフィー)」

Blog
Mick Jagger, London, 1972Gijsbert Hanekroot

2015年最初の写真展はオランダ在住の写真家ギスバート・ハイネコート(Gijsbert Hanekroot、1945-)の「70’s Rock Photography」となる。昨年の東京フォトとフォト・マルシェで展示して非常に好評だったことから今回の日本初個展開催となった。

有名ミュージシャンを撮影した写真作品はどうしても写真家の作品でなく、被写体の写真になってしまう。世の中には、有名ミュージシャンが写ったブロマイド的オリジナル・プリントを販売している写真家は数多くいる。その一方で、数は少ないものの作家性が反映されたミュージシャン系の写真作品も存在する。重要なのは、写真家がどのような考えとスタンスでミュージシャンと接して、写真撮影しているかだろう。ハイネコートのロック写真はそのような珍しい作品群だ。

彼によると、70年代はロックの古き良き時代だったという。ミュージシャンたちは、若者世代の政治的・社会批判的なメッセージを音楽で社会に伝えようとしていた。ミュージシャンと、カメラマンやファンはより近い存在だった。映画「あの頃ペニー・レインと」(原題: Almost Famous、2000年公開)のような世界が展開されていたという。メディアの仕事だったものの、ハイネコートはそんなミュージシャンたちに憧れ、カッコいいと感じて撮影していた。
しかし80年代以降はロックがビッグ・ビジネスとなり、みんなお金儲けの仕事として演奏するようになる。彼は当時を振り返り、あまりにもコマーシャル的で型にはまった演奏になり、面白い写真が撮れなくなった、と語っている。また写真家が自由にミュージシャンと接して好きなように写真が撮れなくなっていったのだ。ハイネコートはそんな状況での撮影に嫌気がさし、80年代初頭にミュージック・シーンの撮影をきっぱりとやめてしまうのだ。
彼は自分に妥協して撮影を続けなかった。その結果、彼が撮影した70年代の作品群はジャズやロックの古き良き時代のミュージシャンの素の姿を撮影した貴重なアーカイブスとなった。またそれらは若かりしハイネコート自身の心情が反映された、当時の社会の気分や雰囲気を伝える広義のファッション写真でもあるのだ。

ゼロ年代になってから、展覧会参加がきっかけで、彼の70年代の写真がオランダで再評価される。2008年には初写真集「ABBA...ZAPPA」が刊行された。今回展示されているのは、その写真集からの本人自身によるベスト・セレクション。すべて過去のネガを再解釈して新たに制作されたデジタル・アーカイヴァル・プリントだ。デヴィット・ボウイ、フレディ―・マーキュリー、ジェリー・ガルシア、パティ・スミス、デビー・ハリー、ブライン・イーノ、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、ジェームス・ブラウン、ニール・ヤング、ボブ・マーリー、ブライアン・フェリー、エルトン・ジョン、キース・リチャーズ、ミック・ジャガーなど、錚々たるミュージシャンのライブとオフ・ステージのシーンが高い完成度で撮影されている。ぜひご高覧ください!

ギスバート・ハイネコート写真展
「70’s Rock Photography(70’s ロック・フォトグラフィー)」
2015年 1月23日(金)~ 3月28日(土)
ブリッツ・ギャラリー
1:00PM~6:00PM/ 休廊 日・月曜日 / 入場無料

会場では、写真集「ABBA...ZAPPA」(写真家サイン入り)が限定数販売予定。
1月24日(土)の午後2時~は、ギャラリストによるフロア・レクチャーも開催。
興味ある人はぜひお出でください!

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