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テリー・オニール作品人気の秘密 »

2015年4月21日 (火)

テリー・オニール写真展
いよいよ4月23日(木)より一般公開!

東京、香港のアジア巡回展に際し、英国を代表するポートレート、ファッション写真家のテリー・オニール(1938-)が来日した。メディアの取材やギャラリー・トークを通して彼の写真家のキャリア展開や作家ポリシーが明らかになったので、ここで紹介しておこう。

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テリー・オニールは、政治家、ミュージシャン、皇室、セレブリティ―を撮影している。 また女優フェイ・ダナウェイと結婚していたこともあるので、多くの人はアートとは縁遠い人だという印象を持つだろう。しかし、彼は非常にジャーナリスト、ドキュメンタリー系の視点を持った写真家なのだ。どんな有名な被写体であっても、自然は表情を引き出しその瞬間を切りとることに苦心してきたという。私は、彼は各時代を代表する人物を自らのスタイルで撮影しており、その写真は撮影当時の雰囲気を伝えていると理解している。単なるブロマイド的なポートレート写真ではなく、広義のアートととしてのファッション写真ということだ。

彼のキャリアは、いくつかの偶然が重なって展開してきたのがとても興味深い。まず写真家キャリアは、ヒースロー空港でスクープ写真を撮影したことから偶然始まった。写真学校にも通ったのだが、テクニックは独学だったようだ。
影響を受けたのは、フォトジャーナリストのユージン・スミスだという。若かりしオニールは写真年鑑をかなり参考にしたという。当時の年鑑には、カメラや使用レンズ、フイルム、シャッタースピード、絞りなどの撮影データが記載されていた。それを参考にして機材をそろえて、撮影術を学んだようだ。そこでの彼のあこがれで参考にしたのがユージン・スミスだった。
ジャーナリスト的な仕事も行うが、事故などの悲惨な状況の撮影などはあまり好きになれなかったという。そんなときに彼に偶然に回ってきたのが、当時全盛だったポップ・カルチャー・シーンの撮影だった。彼は当時のデビュー寸前のビートルズをアビーロード・スタジオの裏庭で撮影する。それは彼が新聞社で一番若い写真家でミュージシャンと同年代だったから。他のベテラン・カメラマンが嫌がった結果だったという。その写真は一般紙に大きく掲載され新聞は完売する。それがきっかけでザ・ローリング・ストーズからも撮影依頼が舞い込むのだ。
35mmカメラを使用してストリートで撮影した写真には当時の若者文化の最前線の気分が見事に反映されていたのだ。年齢が近いがゆえに彼は多くの若手ミュージシャンと瞬く間に親しくなったという。
これはギスバート・ハイネコートの時にも触れたが、当時はミュージシャン、写真家、ファンはとても近い存在だったのだ。ミュージシャンは政治的、文化的なメッセージを伝えたいと考えており、写真家はそれを幅広い人に伝える役割を担っていたのだ。彼のキャリアでは、若い時に将来有名になる被写体と親しい関係性が構築できたのが非常に重要だった。ミュージシャンが世界的なスターになるにしたがって、彼らを無名の時から撮影していたオニールの名声も高まっていった。
彼の生まれ持った性格もキャリアに影響していると感じた。何日間か行動を共にして感じたのは、とても気づかいの人だということ。写真集のサインやトークイベント、来場者との記念撮影など、長旅と時差で疲労困憊しているはずなのにとても丁寧に対応してくれた。人に対する振る舞いがとても自然で、オーラのようなものは感じられない。 これは有名写真家に共通すると経験的に感じていた事実。社会的に認められている人は、特に偉ぶったりする必要がないのだろう。
彼の有名人のポートレートは非常に親しみがあり、自然な表情をしているものが多い。それは被写体が写真家のオニールをよく知っていて、アーティストとして彼をリスペクトしているからだ。また、多くの写真では、彼は被写体と数週間に渡って行動を共にして撮影していたという。一緒に時間を過ごすことで、被写体はカメラマンの存在を意識しなくなり、結果的に自然な表情や姿が撮影できるのだ。その典型例がフランク・シナトラ。彼は仕事に非常に厳しいことで知られており、ベストの仕事しか認めないという。シナトラは長期にわたりオニールの同行を認め、そこからはいくつもの名作が生まれている。
彼は、成功の秘密は写真家が目立たないことだ、という意味の発言をしている。その真意は、自分の存在を消しさることで、自然な表情を引き出すという意味なのだ。しかし、いまはかつてのように時間をかけて写真を撮るような状況はなくなってしまったと、彼は嘆いていた。

彼のデジタル写真に対しての考えも紹介しておこう。デジタルで多くの人が写真を撮るようになったのは喜ばしいことだ、としている。しかし、彼は写真の本質は瞬間を切り取ることで、カメラを通して自分の直感を表現する行為だと理解しているという。デジタルでは撮影者にそのような一瞬に対する強度がなくなっていると感じているようだ。カメラマンというよりも、カメラを操作する人になった。その意味で従来の写真は死んだといえるかもしれないと語っていた。印象的だったのは彼はカメラという機械自体は嫌いだと発言していたこと。来日中にスナップも含めて、デジカメを取り出したことは全くなかった。スマートフォンも電話通話のみに使用しているらしい。いまは現代アートが市場を席巻して、自己表現は何でもありの時代となった。彼のようなアナログ撮影を好む考えも、数あるアプローチの中のひとつとして十分にありえるだろう。
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本展では約50年にわたる長いキャリアの中から、ブリジッド・バルドー、オードリー・ヘップバーン、フェイ・ダナウェイ、エリザベス・テイラー、ロジャー・ムーア、ケイト・モス、ミック・ジャガー、デビッド・ボウイ、エリック・クラプトン、ブルース・スプリングスティーンなどを撮影したベスト作品約30点を展示。F-1ドライバーやライブ・エイドの集合写真も必見だ。
上記で紹介した、60年代のビートルズやザ・ローリング・ストーズの初期写真も展示される。連休中も開催するのでぜひお出でください!

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テリー・オニール 写真展
“Terry O’Neill: 50 Years in the Frontline of Fame”
(テリー・オニール : 華麗なる50年の軌跡)
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会場:インスタイル・フォトグラフィー・センター
2015年 4月23日(木)~5月10日(日)
午後1:00~6:00/ 入場無料/ 月曜日は休館
〒106-0047 東京都港区南麻布5-2-9 地下1階 
http://www.instylephotocenter.com/Information.html

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