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2015年6月 9日 (火)

AXISフォトマルシェ2開催!
アート写真の見比べができるフォトフェア

日本で写真が売れないといわれて久しい。
これは写真家や販売業者の愚痴だったのが、最近はアマチュアや学生でさえその事実を知っている。市場規模が小さいことから、いまやアートとしての写真の可能性に幻想を持つ人はあまりいなくなった。この業界の将来性に期待して新規参入する人も減少している。

日本市場の分析をすると長くなるのでここでは触れないことにする。このような日本の厳しいアート写真を取り巻く状況のなかで、写真コレクターの役割にもっと期待したいと考えている。日本では写真でアート表現する人は少ないものの、欧米と遜色のない高いレベルのコレクターは存在するのだ。
かれらは、世界の最先端のアート写真情報に日々触れている。それらの情報を蓄積したうえでもっと能動的に写真作品と接して評価してくれることに期待したい。欧米的なファインアートの基準から日本写真を評価するのはもちろんありだ。しかし現状だと、多くの写真作品はデザイン重視のものになる。しかし、それらをアートではないと切り捨てるのではなく、その中からも優れた作品を見出してもらいたいのだ。

その基準の一つになり得るのが、最近のブログで紹介したマージナル・フォトグラフィー。つまりクール・ポップ写真の見立てなのだと考えている。これは写真家の世界を見る強度を評価することでもある。最初のうちは、どれがデザイン重視のインテリア写真か、クール・ポップ写真かの区別はつかないだろう。しかし、写真家の情報を収集して、また数多くの写真を意識的に見比べる経験を積むことによって次第に違いが感覚的にわかってくる。整理整頓すると、写真家のキャリア上の主要な仕事に目配りをしたうえで、目の前の作品からメッセージを読み解くのがファインアートへの接し方。写真家がデザイン的な視点ではなく、どれだけ心を開いて対象を見ているかを読み解くのがクール・ポップ写真への接し方になる。
多くのコレクターによる意識的な行動の先に、いままで顕在化していなかった日本写真の新たな可能性が見えてくると期待したい。

「AXISフォトマルシェ2」は様々な種類の業者が参加するので、上記のような経験を積むには最適の場ではないだろうか。目を肥やすためにも本物を見るのが一番といわれるが、AXISギャラリーのブースでは市場で価値が認められた国内外の逸品も数多く展示されるという。まさにピンキリの写真作品が一度に見ることができるのだ。

Dsc01810
昨年秋に開催された第一回アクシスフォトマルシェ
   
ブリッツでは、新山清、三善チヒロ、テリ・ワイフェンバックとともに、1920~30年代フランスのファウンド・フォトを展示する。前記のファイン・アートとクール・ポップ写真との関係性を意識した展示になる。
新山清(1911-1969)は、サブジェクティブ・フォトグラフィ(主観主義写真)の写真家として、ドイツのオット・シュタイナート(1915-1978)に認められた写真家だ。作品はドイツの老舗写真ギャラリーのキッケン(Kicken)でも取り扱われている。実は私は彼の写真こそがマージナル・フォトグラフィーたるクール・ポップ写真に分類されるべきだと考えている。日本ではサブジェクティブ・フォトグラフィは撮影の方法論、技術論なのだと理解されて定着することができなかった。その本来の意味は、自立した個人が能動的に世界を見て写真で表現することだった。その点を提示するために、新山清と同時に現代アート的な視点で作品を制作している三善チヒロを対比展示する予定だ。
テリ・ワイフェンバックは米国人写真家なのだが、私の理解しているクール・ポップ写真的なアプローチで作品制作に取り組んでいる人なのだ。このカテゴリーの写真は海外の作品にも適用できるのではないかと考えている。
ファウンド・フォトを展示しているのは、それらの写真がアート写真の完全な対極に位置する、撮影者のエゴが一切ないアマチュア写真だからだ。どのようにセレクションして提示するかによってクール・ポップ的な写真になりえると考えている。新しいカテゴリーの写真コレクションに興味ある人はぜひ見てもらいたい。また様々な議論が行われる叩き台になって欲しい。
期間中、私はだいたい会場にいる予定。ぜひ声をかけてください!

AXIS フォトマルシェ2
http://www.axisinc.co.jp/building/eventdetail/419

2015年06月11日(木) ~ 06月14日(日)
11:00 ~ 19:00

アクシスギャラリー
入場料無料
お問い合わせTel. 03-5575-8655

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