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2015年6月16日 (火)

アート写真・中間価格帯作品の現在
ロンドン・オークション・レビュー

5月の中旬から下旬にかけて中間価格帯のアート写真を主に取り扱うオークションがロンドンで大手3業者により開催された。
以前ニューヨークの中小業者によるに1万ドル(約120万円)以下の低価格帯中心オークションを紹介した。ボンハムス(Bonhams)ヘリテージ・オークション(Heritage Auctions)スワン(Swann Auction Galleries)3社の結果は平均落札率67.7%とやや厳しい状況だった。

今回ロンドンの大手業者で開催されたのは5万ドル以下がメインの(約600万円)の中間価格帯中心のオークション。結果は3社の売り上げ合計は約398万ポンド(約7.56億円)、平均落札率は64.5%だった。
全体的に平均的な結果なのだが、出品数は少ないもののオークション目玉である高額有名作品の不落札が散見された。比較的好調だった高額価格帯に陰りが見えてきたのはやや気になるところだ。昨年秋から、平均した落札率はずっと60%台半ばにとどまっている。いままでリーマン・ショック後の激しい落ち込みから市場は順調に回復してきた。いま落札率の頭打ちが続いているのは、そろそろ今回の回復サイクルもピークに達しているということだろう。金融市場で予想されている米国の金利引き上げの影響も気になるところだ。はたして今の小休止状態の後、今秋の市場はどちらの方向に向かうのだろうか?

フィリップスは5月21日"Photographs"を開催。こちらは約9割が低中価格帯作品。

Phillips2015ldn
Phillips London オークションカタログ

落札率は約77%と好調、総売り上げも約173.65万ポンド(3.29億円)と3社中見事に1位だった。やや気になったのが数は少ないものの、高額価格帯の代表作の不落札が散見されたこと。
リチャード・アヴェドンの"Nastassja Kinski and Serpent,1981"最低落札予想価格が4万ポンド(約760万円)で不落札だった。この作品はエディション数が多く流動性が高いことから近年落札価格が急上昇してきた。 さすがに5万ドルを超えるレベルの最低落札予想価格は過大評価だったといえるだろう。
同じく、アルバート・ワトソンがケイト・モスを背後から撮影した大判サイズの代表作"Kate Moss,1993"やデビット・ラシャペルの大判サイズ"Jesus in my Homeboy,2003"も不落札。これらの最低落札価格も過大評価だったと思われる。
最高額はハーブ・リッツのアイコン的作品"Versace Dress, Back View, El Mirage, 1990"。2014年9月に行われたフォト上海のメイン・ヴィジュアルだったのは記憶に新しい。落札予想価格を大きく上回る15.85万ポンド(約3011万円)で落札された。

クリスティーズは、 "20/21 Photographs: Photographs Selected by James Danziger"を5月22日に開催。今回は著名なディーラーであるジェームス・ダンジガーのコレクションからの出品だった。ただし彼はいまだ現役であり、作品リストを見るとコレクションの重要作というよりも在庫を中心に売りに出した印象が強かった。
残念ながら落札率は約59.22%に低迷、総売り上げも約57.7万ポンド(1.09億円)と3社中最下位だった。最高額は、アウグスト・ザンダーのGunther Sanderによるエステート・プリント"Three young farmers on their way to a dance, Westerland, 1914"だった。何と落札予想価格の約10倍にもなる10.45万ポンド(約1985万円)で落札。ギュスターヴ・ル・グレイの鶏卵紙作品 "Brig on the Water, 1856"は5万ポンド(約950万円)で落札された。
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Sotheby's London オークション・カタログ
 
ササビーズは"Photographs"を5月23日に開催。 こちらも約8割が低中価格帯作品となる。
特にニュートン、ペン、ホルスト、ブルメンフェルドなどのスタイル系と、ベッヒャー、シュトゥルート、グルスキー、ベアードなどの現代アート系に重点が置かれたセレクションだった。ちなみカタログ表紙はニュートン、裏表紙はベッヒャーだ。
アーティストによりかなりばらついた結果になった。落札率はかなり厳しい約55.4%、総売り上げは166.78万ポンド(3.16億円)。ホルストは14点のうち6点、ベアードは7点のうち3点が落札したのみ。やや気になる高い不落札率だった。ニュートンは8点のうち5点、ペンは6点のうち4点、ブルメンフェルドは6点のうち5点が落札で、比較的好調だった。
最高額はモホイ=ナジのフォトグラム作品"Untitled (FGM78), 1923-1925/c.1929"。予想落札価格内の12.5万ポンド(約2375万円)で落札されている。もう一点のフォトグラム"Untitled (FGM80A), 1923-1925/c.1929"は不落札だった。 ピーター・ベアードの135X204cmサイズの"Loliondo Lion Charge,1964"は11.25万ポンド(約2137万円)で落札された。

(1ポンド/190円で換算)

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