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2015年12月 1日 (火)

テリー・オニール「All About Bond」
映画作品はアートになるのか?

Sc074
Sean Connery plays golf on the ‘moon’ set of Diamonds Are Forever, 1971
(C)Terry O'Neill

ジェームス・ボンド映画シリーズの新作「007 スペクター」の一般公開前に、メデイアで関連する広告や情報が目立つようになってきた。
新作公開にあわせて、英国ロンドン出身の写真家テリー・オニール(1938 - )の「All About Bond」(オール・アバウト・ボンド写真展)が12月4日からスタートする。
テリー・オニールは、初期のザ・ビートルズやザ・ローリング・ストーンズ、そしてハリウッド映画のスターたちの秀逸なポートレートで知られる写真家。彼の写真は、単なるポートレート専門の写真家とは違い、被写体との深い関係性の中から生まれているのが特徴。そのアート性は広く認められており、作品は世界的なオークションで頻繁に出品されて落札されている。
また彼は、約50年に渡り007・ジェームス・ボンド映画を写真撮影した唯一のカメラマンでもあるのだ。

イアン・フレミングによる1953年の原作発表と1962年の映画化以来、ジェーム・ボンドは、英国文化の最も典型的な部分を世界に紹介してきた。いままで23作の映画シリーズと6名の007俳優により、多くの忘れがたいスタントが演じられ、ボンドカーをはじめとする様々なこだわりの装備類や美しいボンド・ガールたちを世に送りだしてきた。
そして同シリーズが約50年という映画史上最長で、最高の売り上げを誇り、いまでも欧米社会で熱狂的に支持されてきた理由は、世界中のエキゾチックで魅惑的なロケ地での痛快なスパイ映画という面だけでなく、ボンドを通して特徴的な英国文化が紹介されているからだ。英国紳士のライフスタイルや立ち振る舞い、英語のアクセントにもこだわりを持って制作されている。やや無理があるかもしれないが、シリーズを通して各地の観光地を紹介しつつも日本文化の典型的な部分を紹介している渥美清の「男はつらいよ」シリーズと重なるといえなくもない。
長年シリーズを近くからみてきたテリー・オニール、彼はこの奇跡的なロングヒットの理由を以下のように語っている。
"最初のころは、シリーズは数作で終わるとみんな考えていた。こんなに長く続くとは想像していなかった。何がすごかったかといえば、そして長期間にわたっての成功の秘密は、ジェームス・ボンドが常に各時代が反映された存在だったことだろう。60年代のショーン・コネリーはクールかつ伝統的な面を持っていた。時代にぴったりだった。70年代のロジャー・ムーアでは、ユーモアが加わった。80年代のピアース・ブロスナンは、現実的なスタイルとともに現れた。そして、最新のボンドだが、誰もがダニエル・クレイグが適役かを疑った。しかし、彼は完璧な現代のボンドを演じているじゃないか、そして登場したボンドガールたちも同様だろう"

映画の写真というと、宣伝用のスティール写真を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、テリー・オニールの写真はそれだけにとどまらない。被写体との関係性を重視する彼の写真スタイルがここでも見事に発揮されている。実際、彼はいまでも歴代の多くのボンド役の俳優と友人関係を継続させているのだ。ロジャー・ムーアが彼の写真にサインしているのはまさに親友の証しだろう。彼によると、撮影の合間も常に俳優たちと行動をともにしており、ところどころで様々な撮影のアイデアを提案して実現させてきたという。映画撮影という厳しい制約の中でも、彼は被写体とのコラボ作品実現に挑戦していたのだ。
ショーン・コネリーが映画"ダイヤモンドは永遠に"の月面のセットで行っているゴルフのバンカーショットや、"ゴールドフィンガー"での、海岸で撮影されたオナー・ブラックマンの作品などはその極みといえるだろう。
テリー・オニールは、良い写真を撮影する秘訣は被写体がカメラを意識しないようにすることだと発言している。彼は本映画シリーズでもそれを見事に実践しており、関係者でしか見ることができない数々の素晴らしいジェームス・ボンド俳優のパーソナル・ショットを撮影している。「All About Bond」展は、ボンド映画のファンが楽しめるのはもちろん、アート写真ファンもコレクションの対象となる作品と出合える写真展だ。

◎テリー・オニール「All About Bond」写真展

会期(1):インスタイル・フォトグラフィー・センター
2015年12月4日(金)~ 12月20日(日)
1:00PM~6:00PM / 休館 月曜日  / 入場無料

〒106-0047 東京都港区南麻布5-2-9 
東京メトロ日比谷線 広尾駅下車 徒歩7分
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会期(2):ブリッツ・ギャラリー
2016年1月8日(金)~ 2月6日(土)
1:00PM~6:00PM/ 休廊 日・月曜日 / 入場無料

〒153-0064  東京都目黒区下目黒6-20-29  
JR目黒駅からバス、目黒消防署下車徒歩3分 / 東急東横線学芸大学下車徒歩15分

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